シリコーンハイドロゲル素材とは?特徴を解説
シリコーンハイドロゲル素材とは?
シリコーンハイドロゲル素材とは、シリコーン素材とハイドロゲル素材を組み合わせたものです。
シリコーン素材は酸素が通りやすく、装用中も多くの酸素が目に届きます。一方、ハイドロゲル素材はやわらかく、水分とよくなじむという特徴があります。
これらを組み合わせたものがシリコーンハイドロゲル素材です。
従来のコンタクトレンズとどう違う?
ハイドロゲル素材とは、いわゆる「従来のコンタクトレンズ」に用いられている素材の総称です。ハイドロゲルとシリコーンハイドロゲルの違いの一つには、酸素の通りやすさがあります。
目の表面を覆っている角膜には、酸素を送り届ける血管が通っていないため、角膜は大気中から涙に溶け込んだ酸素を利用しています。しかし、コンタクトレンズ、特にソフトコンタクトレンズの装用時には、レンズの素材にもよりますが、角膜に届く酸素の量が減ってしまいます。角膜の酸素不足が続くと、目の充血や感染症といった目のトラブルにつながることがあるため、コンタクトレンズを安全に使用するには「酸素の通りやすさ」が重要になるのです。
コンタクトレンズ装用中にどれくらいの酸素が目に届くかを示す指標として「酸素透過率」があります。酸素透過率は80あたりを超えるといくら高くても目に届く酸素の量は変わらなくなりますが、そこまでは、酸素透過率が高いほど多くの酸素が目に届きます。
ハイドロゲルを使った従来のコンタクトレンズは、レンズ内の水分を介して目に酸素が届きます。したがって、酸素透過率を高めるためには、レンズが含む水分量(含水率)を上げる必要があり、そのために様々な工夫が施されています。また、酸素透過率は、レンズが薄い方が高まるため、薄いレンズを作るための工夫も行われています。
しかし、ハイドロゲル素材の場合、含水率を上げると、モノとして弱くなっていくため際限なく含水率を上げることはできません。また、レンズを薄くすると破れやすくなるというデメリットもあります。
コンタクトレンズの含水率とは? についてはこちら
https://acuvuevision.jp/article/215
一方、シリコーンハイドロゲル素材のレンズの場合、酸素はレンズの水分を介してだけでなく、直接レンズ素材を通過するため、含水率を上げなくてもより多くの酸素が目に届きます。
シリコーンハイドロゲル素材のメリット
目への負担が少ない
上で述べたように、シリコーンハイドロゲルは酸素が通る素材であるため、酸素不足を起こしにくく、目への負担が少ないという特長があります。
~アキュビュー® 製品の酸素透過率~
酸素透過率は、Dk/L値という数値で表されます。Dk/L値は、レンズ素材の酸素の通しやすさを示す酸素透過係数(Dk値)を、コンタクトレンズの厚み(L)で割った値です。
シリコーンハイドロゲル素材のアキュビュー® 製品の酸素透過率(Dk/L値)*1は、それぞれ以下のようになっています。
- ワンデー アキュビュー® オアシス® :121
- ワンデー アキュビュー® トゥルーアイ® :118
- アキュビュー® オアシス® :147
- ワンデー アキュビュー® オアシス® 乱視用 :129
- アキュビュー® オアシス® 乱視用 :129
*1 ×10-9(cm・mLO2 /sec・mL・mmHg) 測定条件35℃(-3.00Dの場合) Polarographic method, boundary and edge corrected.
改善されたつけ心地
シリコーンハイドロゲルのコンタクトレンズは、含水率が低い傾向にあるためハイドロゲル素材のものよりも若干硬く、人によっては目の違和感や痛みを覚え、つけ心地が悪いと感じる場合がありました。しかし最近では、装用感を高める技術が開発され、つけ心地のよいシリコーンハイドロゲル素材のコンタクトレンズも登場しています。
コンタクトレンズが乾燥する原因と対処・予防法を解説! についてはこちら
https://acuvuevision.jp/article/029
シリコーンハイドロゲル素材のコンタクトレンズはどういう人に向いている? についてはこちら
https://acuvuevision.jp/article/238
シリコーンハイドロゲル素材のコンタクトレンズの注意点
シリコーンハイドロゲル素材は、タンパク質が付着しにくい反面、油分の汚れが付着してしまうと除去しにくいという特徴があります。
そのため、2週間タイプなど定期的に交換するタイプのレンズでは、日々のケアがより大切になります。
きちんと付着物を落とさないと、付着物によってレンズがくもったり、目のトラブルの原因となることもあるため、通常のソフトコンタクトレンズのケアと同様、ケア前には必ず石鹸でよく手を洗い、レンズに油分が付着しないよう、注意することが大切です。
正しいコンタクトレンズのケア方法 についてはこちら
https://acuvuevision.jp/article/028
コンタクトレンズケースとは? 正しい使い方やケア方法 についてはこちら
https://acuvuevision.jp/article/167
シリコーンハイドロゲル素材を使ったコンタクトレンズ
シリコーンハイドロゲル素材を使用したアキュビュー® シリーズのコンタクトレンズには、ワンデー アキュビュー® トゥルーアイ® とアキュビュー® オアシス® シリーズがあります。
ワンデー アキュビュー® トゥルーアイ® (1日交換タイプ)
裸眼時の約98%の酸素が目に届くシリコーンハイドロゲル素材を採用したコンタクトレンズです。エッジ部分が薄く段差がないため、まぶたとの間に違和感を生じにくいという特長があります。また、レンズの表面が乾きにくいので、長時間装用しても目に負担がかかりません。UVカット機能もあり、大切な目を紫外線から守ります。
詳しくはこちら
https://acuvuevision.jp/contact-lenses/acuvue-trueye-1-day
アキュビュー® オアシス® シリーズ
トゥルーアイ® と同様、裸眼時とほぼ同じ量の酸素が目に届くシリコーンハイドロゲル素材を採用したコンタクトレンズです。涙と似た保湿成分がレンズに配合されているため、レンズ表面が乾きにくく、滑らかな瞬目を可能にします。また、従来のレンズよりも光学性能がアップしており、より鮮明な見え方が期待できます。UVカット効果もある、目の健康に配慮したレンズです。
アキュビュー® オアシス® シリーズには、1日交換タイプのワンデー アキュビュー® オアシス® 、ワンデー アキュビュー® オアシス® 乱視用 、2週間タイプのアキュビュー® オアシス® 、アキュビュー® オアシス® 乱視用 、アキュビュー® オアシス® マルチフォーカルがあります。
ワンデー アキュビュー® オアシス® (1日交換タイプ)
詳しくはこちら
https://acuvuevision.jp/contact-lenses/acuvue-oasys-1-day
ワンデー アキュビュー® オアシス® 乱視用 (1日交換タイプ)
詳しくはこちら
https://acuvuevision.jp/contact-lenses/acuvue-oasys-1-day-astigmatism
アキュビュー® オアシス® (2週間タイプ)
詳しくはこちら
https://acuvuevision.jp/contact-lenses/acuvue-oasys-2-week
アキュビュー® オアシス® 乱視用 (2週間タイプ)
詳しくはこちら
https://acuvuevision.jp/contact-lenses/acuvue-oasys-astigmatism
アキュビュー® オアシス® マルチフォーカル(2週間タイプ)
詳しくはこちら
https://acuvuevision.jp/contact-lenses/acuvue-oasys-multifocal
まとめ
シリコーンハイドロゲル素材のコンタクトレンズは、酸素透過率が高いという特徴があります。
しかし、レンズのケアを怠ると、目のトラブルにつながる可能性もあるため、眼科医の指示に従い、正しく使用してください。
参照サイト
- 公益財団法人 日本眼科学会 コンタクトレンズ診療ガイドライン(第2版)
https://www.nichigan.or.jp/member/journal/guideline/detail.html?itemid=298&dispmid=909 - 日本コンタクトレンズ学会 正しいコンタクトレンズのケア
http://www.clgakkai.jp/general/study.html