正しいコンタクトレンズのケア方法
ハードコンタクトレンズのケア方法
ハードコンタクトレンズのケア方法には、浸け置きとこすり洗いの2種類があります。ハードコンタクトレンズは水分をほとんど含まないプラスチック素材でできているため、雑菌が付着・繁殖しにくく、浸け置きだけでも洗浄可能です。しかし、毎日の洗浄で落としきれなかった汚れはコンタクトレンズ表面に蓄積していきます。必ずしも毎日こすり洗いをしなければならないわけではありませんが、快適でクリアな視界を維持するために、週に数回はこすり洗いもするようにしましょう。
浸け置き
浸け置き用の洗浄液には汚れを分解する酵素が入っているため、コンタクトレンズを洗浄液に浸けておくだけで洗浄が完了します。このタイプの洗浄液には、洗浄も保存も1本でできるタイプと、1液(酵素洗浄液)と2液(希釈液、すすぎ・保存液)に分かれているタイプがあります。
こすり洗い
こすり洗い用洗浄液には、研磨剤が入っているものと、入っていないものがあります。研磨剤入りの洗浄液は、表面加工のされたコンタクトレンズには使用できませんので、自分の使っているレンズが表面加工されていないものであることを確認してから使用してください。
ソフトコンタクトレンズのケア方法
ソフトレンズは水分を多く含む素材でできており、細菌が繁殖しやすいため、はずした後はしっかりと洗浄・消毒を行う必要があります。ソフトコンタクトレンズ用として使われている主な洗浄液には、「過酸化水素製剤」、「ポピドンヨード製剤」、「マルチパーパスソリューション(MPS)」の3種類があります。
過酸化水素製剤
過酸化水素タイプの洗浄液には、洗浄・消毒力が高いという利点があります。
具体的なケアのやり方は、洗浄液で満たしたケースにはずしたコンタクトレンズを浸し、中和剤を入れて*16時間以上放置するだけなので、とても簡単です。中和が不完全だと、コンタクトレンズをつけた時に目に痛みを感じる可能性があるので注意してください。
また、過酸化水素タイプの洗浄液は、カラーコンタクトレンズを変色させることがあるため、一部のカラーコンタクトレンズには使用できない場合があります。カラーコンタクトレンズに使用する場合は、ケア剤の取扱説明書やコンタクトレンズの添付文書を確認してください。
ポピドンヨード製剤
ポピドンヨードタイプも洗浄・消毒効果が高い洗浄液です。タンパク質を除去する力が強いので、コンタクトレンズのくもりや乾燥感が気になる方におすすめです。
また、錠剤を入れるだけで約4時間後には中和が完了するため、取り扱いがとても楽です。中和が完了するとオレンジ色だった洗浄液が無色に変わります。液やレンズの色が変わったことを確認してから装用してください。
マルチパーパスソリューション(MPS)
MPSは、これ1つでソフトコンタクトレンズの洗浄、すすぎ、保存、消毒をすべて行える洗浄液です。他のタイプの洗浄液と比べて、手軽に扱えて便利という利点はありますが、レンズのこすり洗いが毎日必要です。こすり洗いの後はレンズをよくすすぎ、レンズケース内でレンズ全体がMPSに十分浸かるようにして保管します。
MPSには、他の洗浄液と比較して消毒効果が若干劣るという短所がありました。しかし近年、過酸化水素タイプの消毒液と同等の消毒効果を持つマルチパーパスディスインフェクティングソリューション(MPDS)に属する製品が登場しています。MPDSの使い方はMPSと同じですが、優れた消毒効果を発揮するだけでなく、タンパク質や脂質による汚れもしっかりと落としてくれます。
MPSを使用したケア方法の手順
このように、コンタクトレンズの種類、洗浄液の種類によってケア方法は異なります。ここでは、MPS(マルチパーパスソリューション)*2(以下ケア剤)を使用したソフトコンタクトレンズのケア方法について、詳しくご紹介したいと思います。
STEP 1「石鹸と流水で手を洗う」
レンズをはずす前に石鹸でよく手を洗っておきましょう。手が汚れていると、目やレンズに細菌を付着させてしまう場合があります。
STEP 2「コンタクトレンズをはずし、ケア剤をつける」
まず使用しているコンタクトレンズを目からはずします。
コンタクトレンズをはずしたら手のひらにのせ、ケア剤をつけます。
STEP 3「こすり洗いをする」
ケア剤をつけたらレンズを一方向にこすって洗います。片面だけでなく表裏ともに十分に洗ってください。
STEP 4「ケア剤ですすぐ」
レンズの表裏をしっかり洗った後は、ケア剤でよくすすいでください。
STEP 5「コンタクトレンズケースにケア剤をつけ、レンズを入れる」
レンズの洗浄等を行った後、レンズ全体が完全に浸る量のケア剤を入れます。
その後レンズケースにコンタクトレンズを浸け、ケースのフタを閉めます。
STEP 6「十分な時間放置する」
レンズケースにコンタクトレンズを浸け、そのまま4時間以上は放置するようにしてください。短時間で取り出してしまうと、汚れが落としきれない場合があるので、ある程度時間を置く必要があります。*3
レンズケースのケア方法
レンズケースにも汚れは溜まっていきます。レンズケース内で微生物が繁殖しないように、レンズを取り出した後、フタとケースをケア剤でよく洗って、フタを開けて自然乾燥させてください。また、定期的に新しいレンズケースに交換しましょう。
まとめ
目は非常にデリケートで、コンタクトレンズのケアを怠るとさまざまなトラブルを引き起こすリスクがあります。目の健康を守るために、「毎日」「しっかり」としたケアを行いましょう。
*1 コンタクトレンズを入れるカップに中和ディスクが固定されていて中和剤を入れる必要がないタイプの洗浄液もあります。
*2 「洗浄・消毒・保存」が一本でできるコンタクトレンズケア剤
*3 放置する時間はメーカーによって異なるため、使用しているケア用品の説明書に従ってください。
*具体的なケア方法については、眼科医の指導に従ってください。