乱視の見え方の違いとは?文字や夜間の見え方もご紹介
乱視とは
乱視の見え方
乱視がある人には、周囲の景色がどのように見えるのでしょうか? 以下に、正視(屈折異常がない状態)、近視、乱視のそれぞれについて、見え方のイメージを示します。
正視の見え方
(イメージ図)
近視の見え方
(イメージ図)
乱視の見え方
(イメージ図)
近視の場合、遠くのものがぼやけて見えますが、近くのものにはピントが合うのではっきり見えます。一方、乱視の場合は、見たいものが近くにあっても遠くにあっても、ぼやけたり、二重に見えたりします。
乱視の仕組み
そもそも、乱視はどのように起こるのでしょうか?
人の目は「角膜」や「水晶体」で光を屈折させています。屈折した光は、眼球の奥にある「網膜」上に焦点を結びます。網膜上に結ばれた像は視神経を通じて信号として送られ、最終的に脳が映像として認識しています。これが「見える」という状態です。つまり、見るためには網膜上に焦点が結ばれる必要があるのです。
しかし、角膜や水晶体に歪みやデコボコがあると、光の曲がり方が一様でなくなってしまい、焦点が複数できてしまいます。つまり、網膜上に一つの焦点を結べなくなってしまうのです。これが「乱視」という状態です。ちなみに近視や遠視では、焦点の位置がそれぞれ網膜より手前あるいは後ろにずれていますが、結ばれる焦点の数は一つです。
近視・遠視・乱視の違い
近視・遠視・乱視にはどのような違いがあるのでしょうか?
近視・遠視・乱視とは?それぞれの仕組みや、老眼との違い、矯正方法についてはこちら
https://acuvuevision.jp/article/032
日常生活での乱視の見え方
乱視の場合の文字の見え方
文字は縦・横・斜めの線の組み合わせでできているので、乱視があるとにじんでいるように見え、似たような形の文字を判別しづらいことがあります。新聞や書籍、パソコンやスマホのディスプレイを見ている時に、似たような文字の区別がつきにくい場合は、乱視の可能性があります。運転中に道路標識や看板の文字が読みづらく、乱視に気づくこともあります。
乱視の場合の夜間の見え方
乱視の人は、明るい場所よりも暗い場所や夜間のほうが、視界がぼやけて見えづらくなるとされています。夜景の光や信号の光がにじんだり、複数に見えたり、花火のように見えたりします。
※近視、遠視でも同様の見え方になることがあります
正視の見え方
(イメージ図)
乱視の見え方
(イメージ図)
乱視の検査方法
眼科では、乱視を調べる際に以下のような検査を行います。検査の内容や流れは医療機関によって異なりますが、他覚的屈折検査の結果をもとにして、自覚的屈折検査を行うことが多いようです。
他覚的屈折検査
オートレフケラトメータと呼ばれる機械を使って、目の屈折力を客観的に測定する検査です。目に弱い赤外線を当てて、光が目の中でどのように屈折しているかを調べます。
検査中、機械の中にある絵がハッキリ見えたり、ぼやけたりしますが、これは目の緊張をほぐすために行われていることなので心配ありません。リラックスして検査を受けましょう。
自覚的屈折検査
検査を受けている本人の判断や応答をもとに、乱視の度数や角度を調べる検査です。乱視表やクロスシリンダーという道具を使います。
乱視表による検査では、放射状に描かれた線を見ながら、それぞれの線の太さや濃さに違いがないか答えます。乱視がある人は、線の濃さや太さが不均一に見えたり、一部だけがくっきり見えたりします。一方、強い乱視がない場合や、乱視がきちんと矯正されている場合は、全ての線が同じ太さ・濃さに見えます。
クロスシリンダー法では、凸面の円柱レンズと凹面の円柱レンズを裏向きに張り合わせたクロスシリンダーレンズを使います。このレンズを目の前で反転させながら、見える像の鮮明度を比較することで、乱視の度数や角度を調べることができます。この検査の結果は、コンタクトレンズやメガネの度数を決める基準になります。
目の病気が原因で乱視が起こる可能性もある
乱視は、大きく「正乱視」と「不正乱視」の2種類に分けられますが、そのうち「不正乱視」と呼ばれるタイプは、目の病気やケガなどが原因で、下図のように角膜の表面がデコボコになってしまった場合に起こります。
このような角膜の異常を生じる病気には、円錐角膜(角膜の中央部分が薄くなり角膜が前下方に突出してくる病気)や翼状片(鼻側の白目にある組織が増殖して角膜へ侵入する病気)などがあります。また、目の手術や目に負ったケガの後遺症などが原因で引き起こされることもあります。
~乱視による弱視について~
ヒトの視機能はものを見ることで発達していくため、0~8歳頃の間にものがよく見えない状態で日常生活を送ると、視機能がうまく発達しないことがあります。例えば、生まれつき乱視がつよく、ものがはっきり見えていない子供は、矯正をしないまま成長すると弱視*になってしまうことがあります。早く矯正を開始すれば弱視を防げることも多いですので、小さなお子様がいるご家庭では、必ず3歳児健診を受けさせてください。また、子供がものを見にくそうにしている様子に気づいたときは、早めに眼科を受診してください。
*弱視とは、視力の発達が障害されたことが原因でおこる低視力のことで、最大限に矯正しても、1.0の視力が出ない目のことをいいます。
~乱視と老眼~
若い頃から乱視用コンタクトレンズを使い続けてきた方の中には、「老眼が進んできた」と感じている方もいるのではないでしょうか。しかし、乱視用の遠近両用コンタクトレンズは製品の種類が少ないので、自分の目に合った製品が見つからない場合もあります。
乱視用の遠近両用コンタクトレンズが合わない場合は、これまで使ってきた乱視用のコンタクトレンズとメガネを併用することで老眼を矯正することができます。また、コンタクトレンズを使った老眼の矯正法には、「モノビジョン法」もあります。この方法では、片方の目に遠くが見えるレンズを装用し、もう片方の目に近くが見えるレンズを装用することで老眼を矯正します。ただし、モノビジョン法が合わない人もいますので、老眼を感じたらまずは眼科医に相談し、自分に合った矯正方法を見つけましょう。
乱視と診断された後はどうすればいいの?
乱視の状態は、時間とともに変化していくことがあります。メガネや乱視用のコンタクトレンズを使うことでよく見えているように感じる場合でも、定期的に眼科を受診し、乱視が変化していないかチェックしてもらいましょう。
まとめ
乱視の見え方には個人差がありますが、基本的にはメガネやコンタクトレンズを使うことで矯正できます。現在ではそれ以外にも、レーシックや有水晶体眼内コンタクトレンズといった矯正方法も登場し、選択肢が拡がっています。ただし、目の状態によっては矯正方法が限定されることもありますので、まずは眼科を受診して、自分の乱視の状態を正確に調べてもらいましょう。
参考サイト
- 公益財団法人 日本眼科学会
https://www.nichigan.or.jp - 日本弱視斜視学会
https://www.jasa-web.jp
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