乱視でコンタクトレンズが合わない?乱視用コンタクトレンズ選びのポイントをご紹介
乱視?コンタクトレンズが合わない・視界がぼやけるのはなぜ?
乱視とは、目の構造(角膜や水晶体)がゆがんでいるために、目に入ってきた光の焦点が一点に定まらない状態のことをいいます。ピントが一か所で合わないので、見たいものがぼやけたり、二重に見えたりすることがあります。
乱視がある人には、周囲の景色がどのように見えるのでしょうか。
ここでは例として、遠くにある掲示板の見え方を示しました。近視に加えて乱視もある人には、このように見えます。
(イメージ図)
近視用のコンタクトレンズで矯正すると、下の写真のように見え方が少し鮮明になりますが、乱視は矯正できていないので、まだ文字はぼやけて見えます。
(イメージ図)
乱視用のコンタクトレンズで矯正すると、文字もはっきり見えるようになります。
(イメージ図)
このように、近視に加えて乱視もある人の場合、近視だけを矯正しても見づらさが解消されないため、コンタクトレンズが合わないと感じることがあります。見づらさを放置していると、仕事や勉強のパフォーマンスが落ちてしまうこともありますので、乱視を矯正するようにしましょう。
乱視があるかどうかは、下の乱視表を使ってセルフチェックすることができます。
片方の目を隠して、乱視表を左右それぞれの目で見てみましょう。
強い乱視がない場合や、乱視がきちんと矯正されている場合は、全ての線が同じ太さ・濃さに見えます。一方、乱視がある場合は、線の濃さや太さが不均一で、一部の線だけがくっきりと見えます。
このセルフチェックで乱視が疑われた場合は、一度眼科医に相談してみることをおすすめします。
乱視を矯正する方法とは?
実は乱視が全くないという人の方がめずらしく、程度は人それぞれですがほとんどの人に乱視があると言われています。ごく弱い乱視であり、普段見づらいと感じることがなければ、矯正の必要がないこともあります。しかし、見づらさを感じている場合には矯正が必要です。
乱視には「正乱視」と「不正乱視」の2種類があります。「正乱視」とは、角膜や水晶体が一定方向にゆがんでいるために起こる乱視のことです。一方、「不正乱視」とは、角膜の表面がデコボコになっているために起こる乱視のことをいいます。乱視の種類が正乱視か不正乱視かによって、矯正方法は違ってきます。
正乱視の場合は、乱視用のメガネやコンタクトレンズ(ソフトコンタクトレンズ・ハードコンタクトレンズ)で矯正することができます。
メガネには、レンズが固定されているため見え方がブレにくいという長所がありますが、両目の乱視のバランスによってはものが見えにくいことがあります。一方、コンタクトレンズは見え方が自然です。
なお、強い乱視は、メガネやソフトコンタクトレンズでは矯正できない場合があり、不正乱視は矯正できません。その場合は、ハードコンタクトレンズで矯正することになります。
乱視の矯正方法には他にも、角膜にレーザーを当てて矯正する「レーシック」や、目の中に特殊なレンズを挿入する「眼内コンタクトレンズ(ICL)」といった方法があります。ただし、これらの矯正法は、老眼が始まる40歳以降の方では近くが見えづらくなったと感じる場合もありますので、興味のある方は眼科医に相談してみましょう。
乱視用タイプのコンタクトレンズを選ぶときのポイント
酸素透過率の高いレンズを選ぶ
酸素透過率とは、酸素がコンタクトレンズを通って目の表面(角膜)にどれくらい届くかを表した指標のことです。乱視用コンタクトレンズに限らず、近視用コンタクトレンズなどでも重要な指標です。基本的に角膜には血管が通っておらず、涙を介して大気中の酸素が取り込まれています。そのため、酸素透過性の悪いコンタクトレンズを装用すると、角膜に十分な酸素が届かなくなる結果、角膜の透明性が低下したり、酸素不足を補おうと角膜の周囲に血管が発生したりします。目の健康を保つためにも、たくさんの酸素が目に届く(酸素透過率の高い)レンズを選ぶことが重要です。
安定性の高いレンズを選ぶ
乱視の矯正には、下の図に示すように、一定方向の光のみを屈折させる「円柱レンズ」を用います。このレンズを使い、一定方向の屈折を矯正することで、乱視を矯正するのです。したがって、乱視とレンズの方向は常に合っている必要があります。
コンタクトレンズは、まばたきをする度に目の中でわずかに動くのですが、乱視矯正では、このときに回転してしまうと見え方に影響してしまいます。そのため、乱視用コンタクトレンズは、レンズが正しい位置で安定するようデザインに工夫が施されています。フィッティングをして、なるべく安定性の高いレンズを選ぶことが大切です。
自己判断は危険!まずは眼科で診断を受けよう
乱視を自覚しながらも「近視のみ」を矯正している全国の20~40代の男女300名を対象に行ったアンケートでは、コンタクトレンズ装用中に約8割の人が「目の乾燥」を感じると回答したほか、「目の疲れ」、「肩や首のコリ、痛み」、「頭痛」といった眼精疲労と考えられる症状を訴える人が一定の割合でみられました*。
このような症状の原因が乱視である場合は、矯正をすることで症状が軽減する可能性があります。「見たいものがブレて見える」など、乱視と思われる症状がある方は、眼科を受診して一度検査を受けましょう。その際、普段使っているコンタクトレンズを持っていくと、レンズ度数が合っているか調べてもらうことができます。
*2012年J&J調べ(https://acuvuevision.jp/sites/acuvue_jp/files/acuvue-press-0097.pdf)
乱視用コンタクトレンズを購入する際には、一般的によく言われる「度数」(近視または遠視の度数)だけでなく、「乱視度数」や「乱視軸」も眼科で調べてもらう必要があります。また、先ほどお話しした、コンタクトレンズの動き、回転の安定性も、実際にコンタクトレンズを装用して確認してもらう必要があります。
近視(遠視)度数とは?
近視(遠視)度数とは、近視(遠視)を矯正するレンズの力を数値化したものです。屈折度の単位である「D(ディオプター)」を用いて表示され、数値の前に「−(マイナス)」がついていると近視用、「+(プラス)」がついていると遠視用になります。
コンタクトレンズの専門用語について~D、BC、DIA、LOT…など~ について
https://acuvuevision.jp/memamori/contact-lenses/053#heading2-2
乱視度数(CYL)とは?
乱視度数とは、乱視矯正に使用する「円柱レンズ」の強さを数値で表したものです。数値が大きくなるほど強い乱視を矯正できることを表しています。アルファベットでCYLと表示されることもあります。近視や遠視の度数とは異なりますので注意してください。
コンタクトレンズの専門用語について~D、BC、DIA、LOT…など~ について
https://acuvuevision.jp/memamori/contact-lenses/053#heading2-4
乱視軸(AXIS)とは?
乱視軸とは、乱視の角度のことで、0~180度の数値で表されます。角膜や水晶体のゆがみ方は人それぞれですので、個人に合った乱視軸のレンズを選ぶ必要があります。乱視軸は、アルファベットでAXISと表示されることもあります。
乱視用コンタクトレンズは、レンズの方向が回転しないよう一部に厚みがある設計になっています。そのため、乱視用コンタクトレンズに変えるとつけ心地が変わる場合もあります。レンズのデザインによってもつけ心地が違う場合がありますので、まずは検査用レンズをつけてみて確かめてみるとよいでしょう。
なお、コンタクトレンズを購入する際には、必ず医師の診断を受けましょう。目の状態に合っていないレンズを装用すると、深刻な目のトラブルを引き起こしかねません。自己判断でレンズの度数を変えたり、製品を変更したりせず、必ず医師の指示のもとにコンタクトレンズを購入してください。
コンタクトレンズの専門用語について~D、BC、DIA、LOT…など~ について
https://acuvuevision.jp/memamori/contact-lenses/053#heading2-5
まとめ
メガネやコンタクトレンズを使っているのにものがぼやけて見える人は、もしかすると乱視があるかもしれません。放っておくと目に負担がかかりますので、早めに対処しましょう。コンタクトレンズを乱視用に変える際にも、「乱視度数」や「乱視軸」といった情報が必要になりますので、眼科で検査を受けて適切なレンズを処方してもらってください。
参考サイト
- 公益財団法人 日本眼科学会
https://www.nichigan.or.jp/ - 一般社団法人 日本コンタクトレンズ協会
http://www.jcla.gr.jp/ - 公益財団法人 日本眼科学会 コンタクトレンズ診療ガイドライン(第2版)
https://www.nichigan.or.jp/member/journal/guideline/detail.html?itemid=298&dispmid=909
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