ものもらい(麦粒腫)とは?
ものもらい(麦粒腫)とは?
「ものもらい」の正式な病名は「麦粒腫」です。関東地方では「ものもらい」と呼ばれていますが、地方によって呼び方が異なり、関西地方では「めばちこ」とか「めいぼ」と呼ばれています。他に「めっぱ」(北海道)、「おひめさま」(熊本)、「おきゃくさん」(長崎)などの呼び名もあります。「ものもらい」という呼び名から、人にうつると思われることもありますが、人から人にうつることはありません。
ものもらいには内麦粒腫と外麦粒腫があります。 内麦粒腫はまぶたの内側寄りにある脂を出す脂腺(マイボーム腺)に細菌が感染したもので、 で外麦粒腫はまぶたの外側にあるまつ毛の毛根や汗腺に細菌が感染したものです。
ものもらい(麦粒腫)の症状
細菌の感染により、まぶたの赤い腫れ、まばたきしたり、触ったときの痛み、などの症状が出てきます。ものもらいかもしれないと思ったら眼科を受診しましょう。治療が遅れると治りにくくなり、切開が必要になります。
ものもらい(麦粒腫)の原因とコンタクト装用
ものもらいは常在菌(普段から人の体に住んでいる細菌)が原因であることがほとんどです。体の抵抗力が弱っていると、ものもらいのきっかけになるため、規則正しい生活をこころがけてみるのもいいかもしれません。
また、コンタクトレンズを使用される人は、ものもらいが治るまで装用を中止します。
ものもらい(麦粒腫)の予防・対策方法
こまめな手洗い
こまめに手洗いをして手を清潔な状態に保ちましょう。また、前髪が目やまぶたに触れないようにする、汚れたタオルで顔を拭かないようにすることも大切です。
正しい生活習慣を送る
ものもらいは、夏の終わり頃など体力や免疫力が低下している時に起こりやすい傾向があります。正しい生活習慣を送り体調維持に努めることが、ものもらいの予防につながります。また、高脂血症の人は、ものもらいになりやすい傾向があるとされています*1。
マイボーム腺が詰まらないようにする
マイボーム腺の出口が詰まり気味になると細菌が増えやすくなり、ものもらいができやすくなるようです。マイボーム腺の詰まりを予防するには、ホットアイマスクやホットタオルでまぶたを温め、その後まぶたのふちを優しくマッサージすると良いとされています。お風呂に入っているときにマッサージするのもおすすめです。ものもらいを繰り返しやすい人の場合、マッサージを行うと、再発しにくくなることが期待できます。
アイメイクを控えめにする
マイボーム腺がアイメイクに使った化粧品でふさがれてしまったり、メイクの時に雑菌をマイボーム腺に付着させてしまったりすると、ものもらいが起こりやすくなります。特に最近は、黒目を強調させて目を大きく見せるために、まつげが生えている部分よりも内側の粘膜部分にアイラインを入れる「インサイドライン」というメイク方法が流行していますが、家に帰ったら、アイメイク専用のクレンジングを使って毎日きちんとメイクを落とし、目の周りを清潔に保ちましょう。また、「まつ毛エクステ」や「つけまつ毛」にも注意が必要です。これらを使っているときに洗顔が不十分になり、まつ毛の周りに汚れが残った状態になると、細菌が増殖してしまうことがあります。まつ毛の周りが汚れたままにならないよう、しっかりと洗顔を行ってください。
ものもらい(麦粒腫)の治療方法は?
内科的治療*2
眼科を受診すると、抗菌の目薬や眼軟膏を処方されることが多いです。症状が強い場合は、抗菌の内服薬を処方される場合もあります。適切な治療を行えば約1~2週間で完治します。
外科的治療*2
症状が重い場合は、小さく切開して膿を出すこともあります。膿が出てしまえばその後は自然治癒します。
ものもらい(麦粒腫)と似ている霰粒腫
ものもらいのようにまぶたが腫れる病気に「霰粒腫(さんりゅうしゅ)」があります。麦粒腫とは原因が異なり、マイボーム腺が詰まり、炎症が慢性的に生じることで“肉芽腫(にくげしゅ)“という“できもの“ができてしまう状態です。炎症といっても、細菌の感染によるものではありません。
症状としては、まぶたにしこりができ、痛みや赤みも伴いませんが細菌が感染し、炎症が生じると「化膿性霰粒腫」となり、痛みやかゆみが生じ、患部が腫れて真っ赤になるなどの症状が出てきます。
まとめ
多くの方が経験したことがある「ものもらい(麦粒腫)」は、常在菌の黄色ブドウ球菌などが原因によるものです。日頃から健康に注意し、抵抗力を落とさないようにしましょう。もし、ものもらいにかかったら早めに眼科を受診しましょう。
*1 Kara J. Bragg; Patrick H. Le; Jacqueline K. Le. Hordeolum.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/books/NBK441985/
*2 医療情報科学研究所編、病気がみえる vol.12 眼科、株式会社メディックメディア、2019年
●監修 1977年、日本医科大学卒業後、大阪大学医学部眼科学教室へ入局。その後、大阪警察病院眼科等を経て、1986年、宮浦眼科を開設。 ■所属学会 |