鳥目(夜盲症:やもうしょう)とは?

鳥目(夜盲症:やもうしょう)とは?

鳥目(夜盲症:やもうしょう)とは?

鳥目(夜盲症:やもうしょう)とは?

症状や原因をわかりやすく解説
「鳥目」という言葉を聞いたことはありますか?鳥目とは、暗い所で物がよく見えなくなる「夜盲症」という病気の俗称です。一般的に鳥は、暗い場所での視力が低いことから、暗い所でよく見えなくなる症状を「鳥目」と呼ぶようになったと言われています。昔、栄養が十分に取れなかった時代には、ビタミンAの不足などにより鳥目の症状を経験する人もいましたが、現在では栄養不足のせいで鳥目になる人はほとんどおらず、原因のほとんどは遺伝や病気です。この記事では、鳥目(夜盲症)の症状や原因について解説します。
作成日: 2023/01/19
更新日: 2023/09/27

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目次

 

鳥目(夜盲症)とは?

私たちは誰でも、明るいところから暗いところに入ったり、部屋の電気を切って急に真っ暗になったりすると、しばらく何も見えなくなりますが、時間が経つにつれて暗さに目が慣れ、次第に周りが見えるようになってきます。このように目が暗さに慣れることを「暗順応」といいます。鳥目(夜盲症)とは、この暗順応という機能がうまく働かなくなる病気のことです。一般的な人よりも暗順応に時間がかかる人もいますが、鳥目(夜盲症)でなければ最終的には見えるようになります。しかし、鳥目(夜盲症)の場合は、時間がたっても見えるようになりません。
暗順応のしくみは、私たちの目が光を感知するメカニズムを知ることで、より深く理解することができます。私たちの目の中で光を感知している「網膜」には、外から入ってくる光を感知する2種類の細胞が存在しています。「錐体(すいたい)細胞」と「杆体(かんたい)細胞」です。このうち錐体細胞は、主に昼間の明るい所で働き、さまざまな色の認識に関わっていますが、暗い所ではその働きが低下します。一方、杆体細胞は、色を認識することはできませんが、わずかな光でも感知することができ、主に暗い所で働きます。 通常はこのように、明るい所で錐体細胞が、暗い所で杆体細胞が活発に働くのですが、夜盲症の人では、杆体細胞がうまく働かないため、暗い所で周囲がよく見えなくなってしまうのです。

錐体細胞
杆体細胞

鳥目(夜盲症)の症状とは?見え方は?

暗い所でよく見えなくなることが夜盲症の代表的な症状です。しかし、明るい所では普通に見えるので、夜盲症であることに本人が気づいていない場合もあります。暗い所でつまずきやすかったり、ものによくぶつかったりするといった症状で夜盲症に気づく人もいます。
生まれつき杆体細胞が働かない先天性の夜盲症の場合、本人は暗いところで見えないのが当然と思っているケースもあるため、発見が遅れてしまうことがあります。また、小さい子供は見えにくさを大人にうまく伝えることができないので、周囲の大人が気づいてあげることが大切です。

鳥目(夜盲症)は大きく2つに分けられる

夜盲症は、生まれつきの原因で起こる先天性夜盲症と、栄養不足や炎症などによって起こる後天性夜盲症の2つに分類することができます。

先天性夜盲症

先天性夜盲症には、幼児期に発症して徐々に症状が進行する「進行性」のものと、発症しても症状が生涯進行しない「非進行性」のものがあります。
進行性の夜盲症のうち代表的なのは、難病に指定されている網膜色素変性です。この病気は、20歳までに症状が現れることが多く、数十年かけて進行していきます。夜盲症の症状のほかにも、視野が狭くなる、視力が低下する、といった症状が見られます。進行性の夜盲症としては、ほかにも脳回状脈絡網膜萎縮やコロイデレミアといった網膜の疾患が挙げられます。
非進行性の夜盲症には、(狭義)先天性停在性夜盲、小口病、眼底白点症などがあります。視野や視力は正常であることが多いため、暗い所以外では普通の生活が送れます。
いずれも遺伝が関係していると考えられています。

後天性夜盲症

後天性の場合、基本的に夜盲症の症状が突然現れます。原因としては、次のようなものが挙げられます。

  • ビタミンA欠乏症:消化器系の疾患や手術後の合併症によりビタミンAが不足すると、夜盲症の症状が現れます。
  • がん関連網膜症:がん患者さんにおいて、目の網膜に炎症が起きた状態です。
  • 眼球鉄錆症:目の中に鉄くずが入りサビが生じた状態のことです。

鳥目(夜盲症)の診断方法

夜盲症の症状がある場合には、上で挙げたような病気を疑い、以下のような検査を行います。

眼底検査

眼底検査とは、目の奥側(眼底)にある血管や網膜、視神経などの状態を調べる検査のことです。網膜色素変性は、この検査で網膜に色素のむらや沈着が見られるのが特徴です。ただし、初期の場合や軽症例では色素沈着がみられない場合もあります。その他の疾患に関しても、眼底所見が診断の手がかりになることがあります。

網膜電図(ERG:electroretinogram)

網膜電図(ERG)検査とは、網膜に強い光を当てたときに発生する電気的な変化(電位変化)を記録して、網膜の機能が正常であるかを調べる検査です。網膜の機能が正常であれば、網膜に光を当てたときに電位が大きく変化しますが、杆体細胞の機能が低下しているなどの異常があると、電位変化が小さくなったり、見られなくなったりします。

視野検査

どのくらいの範囲が見えているかを調べる検査です。網膜色素変性や後天性夜盲症の場合は、視野が狭くなっていることがあります。

暗順応検査

夜盲症の程度を調べる検査です。明るい所から暗い所へ入った時に、目が光に対してどのような反応をするか測定します。具体的には、暗順応計という機械を使って暗順応曲線を作成します。暗順応曲線では錐体細胞と杆体細胞のそれぞれの反応を見ることができますが、夜盲症では杆体細胞の反応が見られなくなります。

光干渉断層計(OCT:optical coherence tomography)

特殊な検査機器を使って網膜の断面を調べる検査です。網膜色素変性では、この検査で、網膜の一部が消失してしまっている様子が観察されることがあります。

眼底自発蛍光(FAF:fundus autofluorescence)

網膜にあるリポフスチンという物質が蛍光を発する性質を利用して、網膜の状態を調べる検査です。網膜色素変性の患者さんでは、病気の進行に伴って網膜から発せられる蛍光の強さが変化します。

後天性夜盲症が疑われる場合には、以上の検査のほかに、血中ビタミンA値、腫瘍の有無、網膜蛋白に対する自己抗体の有無などを検査します。

鳥目(夜盲症)の治療法はあるの?

現在のところ、先天性夜盲症に対する治療法は確立されていません。網膜色素変性に対しては、進行を遅らせるための治療や合併症に対する治療を行います。また、まぶしさの原因となる短い波長の光をカットしてくれる遮光メガネを使用し、光刺激から網膜を守ります。
後天性夜盲症の場合は、原因となっている疾患を治療します。ビタミンAが欠乏している場合はビタミンAを補給します。
最近は、夜盲症の人向けのメガネ型ウェアラブルデバイス(暗所視支援眼鏡)も発売されています。高感度カメラで捉えた像を装用者の目の前にあるディスプレイに映してくれるため、暗闇でも見たいものを自然な形で見ることができます。このようなデバイスは、夜盲症患者さんの夜間外出を助け、QOL(生活の質)を向上させることが期待されています。

まとめ

生まれつき暗い所で物がよく見えない先天性夜盲症を治療する方法は、現在のところありません。しかし、暗所視支援眼鏡が開発されたことで、夜盲症の人も暗い場所で明るい視界を得ることができるようになってきています。このようなデバイスの購入費を助成している自治体もありますので、購入する際には住んでいる自治体に問い合わせてみると良いでしょう。
暗いところで物がよく見えないと、怪我や事故につながることがあるため大変危険です。また、なんらかの進行性の病気がある場合もあります。暗い場所で見えにくさを感じたら、できるだけ早く眼科を受診しましょう。

参照サイト・文献

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