兎眼とは?原因や症状、治療方法についてわかりやすく解説

兎眼とは?原因や症状、治療方法についてわかりやすく解説

兎眼とは?

兎眼とは?原因や症状、治療方法についてわかりやすく解説

普段はあまり意識されませんが、私たちの目はまぶたによって守られています。まぶたをしっかりと閉じられることは、目の健康にとって非常に重要なのです。しかし、病気やけがによって、まぶたを閉じることができなくなってしまうことがあります。このような状態のことを医学用語では「兎眼(とがん)」といい、早めに対処しないと重大な目のトラブルにつながることもあります。ここでは、「兎眼(とがん)」という病気について、症状や原因、治療法などを解説します。
作成日: 2023/01/17
更新日: 2023/04/13

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目次

 

兎眼とは?

兎眼とは、まぶたを完全に閉じることができず、いつも目が少し開いたままになってしまう状態のことをいいます。兎眼という病名は、「うさぎは目を開けて寝る」という言い伝えがもとになっているそうです1)(実際には、この言い伝えは正しくありません)。
兎眼のなかには、まぶたを全く閉じられなくなってしまうケースがあるほか、睡眠時にのみまぶたを閉じられない夜間性兎眼というものもあります。軽い兎眼の場合には、目の乾燥やドライアイと間違われて見過ごされることもありますが、重度の兎眼になると、角膜(黒目)が濁ってしまうなどの障害が生じることもあります。

兎眼の原因

兎眼の原因としては、以下のようなものが挙げられます。

顔面神経麻痺

顔面神経麻痺とは、まぶたの動きやまばたきに関係している神経(顔面神経)が麻痺してしまった状態のことです。原因としては、脳梗塞や脳腫瘍、頭部の手術、感染、けがなどが挙げられるほか、原因がはっきりとわからないケースもあります。顔面神経麻痺は、兎眼の原因のなかでも最も多いとされています。

まぶたの瘢痕(はんこん)

瘢痕とは、傷あとのことです。まぶたに火傷や傷を負ったり、炎症が起きたりすると、治った時にまぶたの形や向きが変形して、まぶたを閉じられなくなってしまうことがあります。

眼球突出

病気などが原因で、目が少し前方に出てきてしまう状態のことです。目の位置が前に出てきていることで、まぶたをうまく閉じられないことがあります。眼球突出は、甲状腺機能亢進症や眼窩(目が収まっている骨のくぼみ)の病気などによって生じます。

眼瞼外反(がんけんがいはん)

下側のまぶたが、下側に引っぱられたり、外側にめくれたりしてしまう状態のことです。前述の顔面神経麻痺や外傷によってできた瘢痕が原因で起きることが多いです。

眼瞼欠損

まぶたが生まれつきない、あるいはケガや手術などでなくなってしまった状態のことです。

兎眼の症状

私たちが普段無意識にしているまばたきには、涙で目の表面を潤したり、異物を洗い流したりする役割があります。そのため、うまくまぶたを閉じることができない兎眼の患者さんは、乾燥で目が傷つきやすくなったり、細菌に感染しやすくなったりします。
症状として多いのは、目の乾燥により生じる目のゴロゴロ感や痛み、涙目、かすみ目などです。症状が軽い場合は、ドライアイなどと間違われて見過ごされてしまうこともありますが、目が極度の乾燥状態になると、結膜(白目)が充血したり、黒目に傷がついてしまったりします。さらに、黒目の傷が感染症を伴って重症化してしまうケースもあり、この状態が長く続くと、黒目が白く濁って視力が低下してしまうこともあります。

兎眼の診断方法

兎眼の多くは、顔面神経麻痺が原因で生じます。そのため眼科では、まず顔面神経麻痺の有無や程度を確認します。麻痺が確認された場合には、麻痺を引き起こしている原因を明らかにするために、頭部の画像検査(CTやMRI)を行います。画像検査では、麻痺の原因として脳血管障害(脳梗塞や脳卒中など)が見つかることもあります。
その他の病気により兎眼が引き起こされていると考えられた場合には、疑われる病気の診断に必要な検査を行います。具体的には、上まぶたを持ち上げる筋肉に炎症が生じているか確認するためのMRI検査や、甲状腺機能に異常がないか確かめるための血液検査などです。
また、兎眼が原因で目がひどく乾燥する場合には、目の状態を確認するための検査を行います。行われることが多いのは、細隙灯顕微鏡(さいげきとうけんびきょう)という機器を用いた検査や、目の表面を色素で染めて黒目や白目に異常がないかを調べる検査です。

兎眼の治療方法

兎眼の原因となっている病気が明らかな場合には、その病気に対する治療を行います。そのうえで、乾燥から目を守るために、手術によってまぶたが閉じるようにしたり、目薬などを使って目の表面を保護したりします。

手術による治療

顔面神経麻痺が原因でまぶたを閉じる筋肉がはたらかなくなっている場合には、神経や筋肉を再建するための手術や、上まぶたに小さい金の板を埋め込みその重みで上まぶたを下げる手術を行います(ただし後者は保険適応外です)。
眼球突出が原因で兎眼となっている場合には、眼窩の圧力を下げる手術が行われることがあります。
上まぶたを持ち上げる筋肉が硬く縮んでしまっている場合には、上まぶたを伸ばすための手術が適用となります。一方、下まぶたが緩んで下がってしまっている場合には、下まぶたの一部を縫い寄せる手術法や、下まぶたを外上方へと引き上げる手術法などがあります。また、下まぶたを引き上げるように目尻のあたりにテープを貼る治療法もあります。
まぶたの瘢痕が原因で兎眼が生じているケースに対しては、瘢痕部を取り除き、その周辺や体の別の部分から必要な皮膚などを補う「皮弁」という手術法があります。
なお、目を閉じられないことにより、目の表面に深い傷ができてしまう危険がある患者さんに関しては、就寝時にテープやガーゼで上下のまぶたを閉じたり、上下のまぶたを縫い合わせて完全に目を閉じた状態にする処置を行ったりすることもあります。

目薬を使った治療

人工涙液やヒアルロン酸入りの目薬、油性の軟膏などを使用して、目の表面を乾燥から保護します。
また、黒目に濁りがあるなど重症の場合には、ステロイドの目薬を用いることもあります。

その他

甲状腺の異常により上まぶたを持ち上げる筋肉に炎症が生じている場合には、炎症を抑えるために上まぶたにステロイド薬の注射を行います。

兎眼による目の乾燥を放置してしまうと、黒目の表面だけでなく、より深いところにまで影響が及び、視力低下など重大な障害に発展してしまう可能性もあるため、早めに眼科を受診して治療を開始しましょう。

まとめ

まぶたには、目を乾燥や異物から守るという重要な役割があるため、うまく閉じることができないと目にさまざまな障害が起きてしまう可能性があります。まぶたをうまく閉じることができていないと気づいた場合には、ためらうことなく眼科を受診してください。

●参考サイト

●参考文献

  1. 1) Robert C, et al. Aesth Plast Surg 32, 573–574, 2008
    ・上田 幸典 Frontiers in Dry Eye 10(2),46-48, 2015
    https://webview.isho.jp/journal/detail/abs/10.34449/J0042.10.02_0046-0048?p=firstTab
    ・太田優 臨床眼科 70(12), 1732-1737, 2016
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