海で泳ぐときにコンタクトレンズは外すべき?外さない場合に生じるリスクも解説
海ではコンタクトレンズ装用を避けるべき理由
海水浴の際に、コンタクトレンズを外すよう指導されたことはありませんか?
なぜコンタクトレンズを装用したまま、海で泳いだり、マリンスポーツを楽しんだりしてはいけないのでしょう。その理由や海水がコンタクトレンズに与える影響について見ていきましょう。
海水が目を刺激する可能性がある
海水のpHは、測定場所などによって若干異なりますが、日本近海では現在約8.11)であり、目の表面を潤している涙液のpHは7.0~7.42)と異なる上に、海水の塩分、さらには海水浴場の砂埃などが、目を刺激する可能性があります。また、海水や砂埃が目に入らなかったとしても、跳ねた海水や舞い上がっている砂埃が気になって、目を触ることで、目を刺激すると考えられます。
海水で感染症を引き起こす可能性がある
海水には多くの雑菌が含まれているので、コンタクトレンズを装用したまま泳いだり、マリンスポーツをしたりしていると、海水が跳ね、これらの雑菌が目に付着し、感染症にかかる可能性を高めてしまいます。特に、海水中には、重症角膜感染症を引き起こすアカントアメーバなどの環境菌も存在しています。目には涙による自浄作用がありますが、レンズ装用時にはこの自浄作用が弱まり、目の中で雑菌の繁殖が進んでしまう可能性があるので注意しましょう。
海水でコンタクトレンズが変形する可能性がある
ソフトコンタクトレンズの場合は、素材自体に多くの水分が含まれています。海水が目に入ってレンズに付着すると、レンズと海水の浸透圧が異なるため、濃度を等しくしようとレンズの水分量が変化し、レンズが変形してしまう可能性があります。変形したコンタクトレンズを装用すると、装用中に痛みや刺激を感じたり、目を傷つけたり、適正な視力が得られないことがあるため注意が必要です。
海でコンタクトレンズが外れると危険性が高い
海で泳いだり、サーフィンなどのマリンスポーツを楽しんだりしている最中にコンタクトレンズが外れてしまうと、急に視界が悪くなり非常に危険です。海では急に深さが深くなる場所もありますし、モーターボートなどに牽引されて行う水上スキーなどで、コンタクトレンズがずれたり外れたりすると、危険性が高いと考えられます。
対処法:水泳やマリンスポーツをする際は、度付きゴーグルを利用する
海でコンタクトレンズを使うことの是非は、意外と知られていません。また、コンタクトレンズの変形や感染が心配なのであれば、レンズを装用した上からゴーグルをすればいいだろうと考える人もいることでしょう。しかし、ゴーグルを装着しても、海水を完全にシャットアウトできるわけではありません。ゴーグルがずれると目に海水が入ってくることもあります。海で泳いだり、ダイビングなどのマリンスポーツを楽しんだりする際には、海水が目に入る可能性を考慮してコンタクトレンズを外し、度付きゴーグルの利用をおすすめします。
まとめ
コンタクトレンズを装用したまま、海で水泳やマリンスポーツをする際のリスクについて解説しました。海でのコンタクトレンズ装用は、目やコンタクトレンズのトラブルにつながる可能性があります。目の健康を守るため、海ではコンタクトレンズを外しましょう。また、コンタクトレンズを外すとよく見えないという方は、度付きゴーグルの利用をおすすめします。
<参考資料>
- 国土交通省 気象庁:日本近海のpH
https://www.data.jma.go.jp/gmd/kaiyou/db/mar_env/results/co2_jpn/year.html - 公益社団法人 福岡県薬剤師会:質疑応答
https://www.fpa.or.jp/johocenter/yakuji-main/_1635.html?blockId=78998&dbMode=article - 坪田 一男 他 編:「眼科プラクティス 27.標準コンタクトレンズ診療」 第1版 文光堂, 2009
- 一般社団法人 日本コンタクトレンズ協会:安全に使用するために こんな使い方をしたらダメ
https://www.jcla.gr.jp/index.html - 植田 喜一 編:「眼科スタッフのためのCL(コンタクトレンズ)で困ったときに開く本」 第1版 メディカ出版, 2009
コンタクトレンズを探す