3歳児の視覚健診の目的は?
視力検査
一次検査:事前に家庭で簡単な視力検査を行い、目に関するアンケートにその結果を記入します。
二次検査:家庭での視力検査がうまくできず、0.5の視標が読めなかったとき、事前のアンケートで「目に関して気になることがある」との回答があったときには健診会場で再度視力検査を行います。
屈折検査
令和4年度から厚生労働省の指導により、弱視をなくすために各地の自治体で屈折測定機器を用いた屈折検査が行われるようになってきました。屈折検査により遠視や乱視、近視などの異常の有無とその程度が把握でき、弱視の早期発見や治療の手がかりを得ることが可能になります。また、視力検査が理解できない3歳児にも使用できるために、この屈折検査の普及が望まれています。
3歳児の視覚健診で
再検査となる原因とは…
斜視や弱視
健診会場で受けた二次検査において斜視や弱視の可能性が指摘された場合は、眼科医療機関での精密検査が必要となります。
ヒトの視覚は限られた時期にしか発達しません。発達のピークは生後3カ月~18カ月とされており、8歳頃には発達が終わってしまいます。そのため、斜視や弱視がある場合には、視覚の発達時期を逃さずに治療することが重要です。
子供の視力は、3歳半になるとほぼ大人と同程度まで発達します。また3歳を過ぎると、視力検査が理解できるようになってきます。斜視や弱視の検査を3歳児健診で行うのはこのためです。
3歳児健診で斜視や弱視の可能性があるといわれた場合
視覚の発達時期にある乳幼児では、常にものをはっきりと見ることが非常に重要です。斜視や屈折異常、先天性白内障などの疾患があると、正しい情報が脳へと伝達されず、視力が発達しないため、メガネやコンタクトレンズを装用しても良く見えない「弱視」になってしまいます。しかし、弱視の要因を早期に発見し、早い段階で治療を開始できれば、視力の発達が期待できます。そのため、お子さんに弱視の可能性があるといわれたら、直ぐにでも眼科を受診して下さい。
まとめ
3歳児健診では、1歳半健診の時にはわからなかった色々な問題(斜視、弱視、難聴など)を発見できる可能性があります。特に目の異常に関しては、早期に治療を開始することが重要であるため、子供の将来のためにも3歳児健診を必ず受けさせるべきです。また、3歳児健診を受けるタイミングでなくても、気になる症状がみられた場合には、医療機関を受診するなど早めに対応しましょう。
参照サイト
- 日本弱視斜視学会
- 日本小児眼科学会
●監修 1977年、日本医科大学卒業後、大阪大学医学部眼科学教室へ入局。その後、大阪警察病院眼科等を経て、1986年、宮浦眼科を開設。 ■所属学会 |