
教室内は裸眼で黒板が見えない子どもばかり!?深刻化する近視問題

平岡孝浩先生
1993年筑波大学医学専門学群を卒業。現、筑波大学医学医療系眼科 准教授。専門は眼光学と近視研究。オルソケラトロジーの黎明期から多数の研究に携わり、特に近視進行抑制効果に関しては複数の新知見を世界に発信。近年はアトロピン点眼や多焦点ソフトコンタクトレンズの近視進行抑制効果についても複数の臨床研究に従事。International Academy of Orthokeratology Asia理事も兼任。
なぜ近視になってしまうのか?
近視とは、網膜より手前でピントが合ってしまう状態のことを指します。網膜より手前でピントが合ってしまう原因はいくつかあり、そのうちのひとつが、角膜から網膜までの距離である「眼軸長(がんじくちょう)」が伸びることで発生する「軸性近視」と呼ばれるものです。近視は世界的にも増加傾向で、2050年までに世界人口の半数が近視になると推定されています※2。なかでもアジア人は特に近視になるリスクが高い※3とされており、もちろん日本人も例外ではありません。
※2:Holden et al Ophthalmol 2016; 123: 1036
※3:Ding et al Survey of Ophthalmol 2015
最新の近視抑制研究
失明に至るリスクを持つこうした近視の問題に対し、進行を抑制するために有効な対策の研究も進んでいます。
*進行を抑制するために有効な対策の研究事例です。
低濃度アトロピン点眼
専用の点眼薬「アトロピン」を 毎晩寝る前にさすことで、 近視抑制効果があるとされる。
オルソケラトロジー レンズ
就寝前に専用のコンタクトレンズを つけて就寝することで、 就寝中に視力を矯正し、 日中に裸眼で生活できるようになるほか、 近視の抑制効果も期待されている。
多焦点 ソフトコンタクトレンズ
遠方と近方などの 複数に焦点が合うよう設計された ソフトコンタクトレンズを 装用することで、 近視の抑制効果があるとされる。
家庭でできる、近視を防ぐ方法
●スマホ、ゲーム、パソコン、読書などで近くを見続けることを避ける(適度に休憩をはさむ、また目に近づけすぎないように注意する)
●テレビは明るい部屋(環境)で適切な距離をとって見る
●室内に閉じこもらず、できるだけ屋外での活動時間を増やす
近視かな?と思ったら…
近視を放置することのメリットはひとつもありません。
「最近黒板が見づらい」「目の調子が悪い」などの症状を感じた場合、早急に眼科へ相談ください。
近視が進むと、最悪失明!?
近視は、進行すると網膜剥離や緑内障、網脈絡膜萎縮や黄斑変性など、いずれも最悪の場合、失明にもつながりかねない合併症を招く可能性があるといわれています。


