白目がぶよぶよに腫れる原因は?
白目のぶよぶよは「結膜浮腫」
白目がぶよぶよに腫れている状態を、医学的には「結膜浮腫」と呼びます。結膜(白目)に水分がたまり、むくんでいる状態を指す言葉です。
結膜は、眼球から瞼にかけて存在する薄い膜状の組織です。異物や細菌などが目の内部に入るのを防いだり、涙の層を安定させたりするなど、重要な役割を担っています。結膜浮腫は、炎症によって結膜血管の透過性が亢進した結果、組織そのもの(結膜そのもの)に水分が滞留するために、ぶよぶよとした印象を与える状態になると考えられています。
結膜浮腫の原因
結膜浮腫は、多くの場合、結膜の炎症(結膜炎)がきっかけとなって起こるとされています。なかでも、花粉やハウスダストなどによって引き起こされるアレルギー性結膜炎が原因であることもあります。アレルギー性結膜炎は、結膜浮腫のほかにも、目のかゆみ、充血(白目が赤い状態)、目やになどの症状がみられるのが特徴です。また、ケアが不十分なコンタクトレンズを装用したり、ウイルスや細菌などに感染した場合にも結膜炎になることがあり、その結果として結膜浮腫が起きる場合もあります。ほかにも、強いアレルギー症状が出る春季カタル、加齢に伴い起こる結膜弛緩症、異物や日光などによる刺激なども、結膜浮腫を引き起こすことがあります。
結膜浮腫になった場合の対処法
結膜浮腫の対処法は原因によって異なりますが、結膜に炎症が起きている場合が多いため、目に冷たいタオルなどを当てて冷やすことで、症状を抑えられる場合が多いです。また、患部を触るなどして刺激せず、できるだけ安静にすることが大切です。コンタクトレンズの装用は、目に刺激を与えてしまうことになるため、メガネを使用しましょう。
アレルギー性結膜炎が疑われる場合には、アレルギーの原因物質(アレルゲン)を目からできるだけ取り除くことが重要です。結膜浮腫が軽症の場合には、一般的に、抗ヒスタミン薬(ケトチフェンなど)を含む目薬で対処します。
細菌やウイルスの感染が原因で結膜浮腫が起きている場合は、感染した(感染が疑われる)方の目からもう片方の目へとうつさないことが大切です。症状が出ている側の目を手で触ったら、そのまま反対側の目を触らないように気をつけてください。
以上のような対処を行っても、炎症がなかなか引かないときや、「痛い」など他の症状が現れたときには、腫れの元になる病気があるかもしれませんので、速やかに眼科を受診し、適切な治療を受けてください。
結膜浮腫の予防方法は?
結膜浮腫は、原因となる疾患や状況を避けるよう気をつけることで、ある程度予防することができます。
アレルギー性結膜炎の予防
アレルゲンをできるだけ避けることが大切です。花粉に対するアレルギーがある方は、花粉が飛ぶ時期にゴーグル型のメガネやマスクを使用したり、市販の人工涙液(防腐剤無添加のもの)で目の表面をよく洗ったりすることをおすすめします。症状が出てしまう季節があらかじめわかっている場合には、症状が出る前から抗アレルギー薬を点眼する初期療法も有用と考えられています。*1
細菌やウイルスによる結膜炎の予防
感染を予防することが重要です。何かを触った手でそのまま自分の目を触らない、手洗いやアルコール消毒をこまめにする、他の人とタオルなどを共有しない、といった対策をとりましょう。また、結膜浮腫に限らず、目に何か異常がある場合は、他の人にうつしてしまう可能性も考えて、プールで泳ぐことは控えてください。
コンタクトレンズの適切な使用・管理
コンタクトレンズを衛生的に使用できていないと、結膜に感染が起きたり、持続的な炎症が生じたりすることがあります。また、コンタクトレンズを長時間装用することも、目に負担をかけてしまいます。コンタクトレンズは、洗浄方法や使用方法を守り正しく装用してください。レンズが目にうまくフィットしているか定期的に見直すことも大切です。
まとめ
「白目のぶよぶよ」と表現される結膜浮腫は、見た目も気になる症状であるため、できるだけ避けたいものです。症状がすぐに治らなかったり、他の症状(痛みなど)が現れたりした場合には、自己判断せずに、速やかに眼科を受診してください。
参考サイト
- 公益財団法人 日本眼科学会
https://www.nichigan.or.jp/public/disease/ - 公益社団法人 日本眼科医会
https://www.gankaikai.or.jp/health/33/ - MSDマニュアル プロフェッショナル版
https://www.msdmanuals.com/ja-jp/%E3%83%97%E3%83%AD%E3%83%95%E3%82%A7%E3%83%83%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%8A%E3%83%AB
参考文献
- 高村悦子 アレルギー67(3)103-107,2018