
コンタクトレンズが乾燥する原因と対処・予防法を解説!

コンタクトレンズ装用時に目が乾燥する原因
目の表面を覆う涙の量が少なくなる
目の表面には涙が薄く均一に広がっています。ソフトコンタクトレンズを装用すると、この薄い涙がコンタクトレンズにより分断されてしまうため、裸眼の時と比べると表面を覆う涙の量が少なくなり、不安定な状態になることにより、目が乾きやすくなるといわれています。
また、レンズの表面の涙が不安定になると、まばたきの際、上まぶたとレンズで摩擦がおき、それを乾燥感と感じることがあります。
まばたきの回数が減る
パソコンやスマートフォンなどの画面を集中して見ていると、まばたきの回数が減ってしまいがちです。
まばたきは涙の分泌を促す働きと涙液メニスカスと呼ばれる下まぶたの上に溜まった涙を再び目に広げる働きをしているため、まばたきが減少すると、涙の量が減って目が乾燥してしまいます。
空気が乾燥している
空気が乾燥していると、涙の蒸発量が増えて目が乾燥します。また、エアコンの風が直接当たると、涙の蒸発量がさらに増えるので注意が必要です。
レンズが汚れている
コンタクトレンズに汚れがついていると、レンズの表面に涙が広がりにくくなります。結果として目の乾きを感じます。
ドライアイの可能性も
ドライアイとは、涙の量の減少や、涙に含まれる水分・油分の量のバランスが崩れ、目の表面を覆う涙の層が崩れやすくなることで、目が乾きやすくなる病気です。涙は通常、下の図に示すように、油層と液層という2つの層からなっています。何らかの原因で油層と液層のバランスが崩れると涙が蒸発しやすくなり、目が乾燥しやすいドライアイと呼ばれる状態になってしまうのです。

ドライアイになると、「目が乾く」という症状の他に、目やにが出る、目がゴロゴロする、物がかすんで見える、目が疲れやすいなど、様々な症状が出ます。
目がゴロゴロする原因は? についてはこちら
https://acuvuevision.jp/article/315
ドライアイを放置すると、症状が悪化し、合併症を引き起こすことがありますので、思い当たる症状がある方は眼科を受診しましょう。
コンタクトレンズ装用時に目の乾燥から保護・予防するには
意識的にまばたきをする
気軽に取り組める対策の一つが、コンタクトレンズ装用時に、裸眼時よりも意識的にまばたきをすることです。まばたきをすると新しい涙が分泌され、また、下まぶたの上に溜まった涙が再び目の表面を覆うため、目の表面の涙が不安定になるのを防ぐことができます。
パソコンやスマートフォン、読書など、何かに集中していると、まばたきが減少することがあるため、適度な休憩をはさむ習慣を取り入れるなど、少し意識してまばたきを多くするようにしましょう。
なお、目が乾燥すると、まぶたとレンズの間の摩擦が大きくなり、まばたきをした際にコンタクトレンズがずれてしまうことがあります。このような状況を予防する意味でも、日頃から意識的にまばたきをし、涙で目の表面を潤しておくことが大切です。
まばたきでコンタクトレンズがずれるのはなぜ? ずれてしまう時の対処法は? についてはこちら
https://acuvuevision.jp/article/300
目薬を使う
目の乾きを緩和する方法の一つとして、涙を補うために目薬を使うことがあげられます。ただし、目薬の誤った使用は、目に悪影響を与える可能性もあるので、説明書に従って正しく使用しましょう。
目を休める時間を作る1)
パソコンなどの電子機器を長時間使用する作業は、ドライアイの一因となります。パソコンなどを使う際は、1時間ごとに10~15分程度の休憩をとりましょう。遠くの景色をぼんやり眺めるのも効果的です。
また、目が疲れないようにするためにも、部屋やモニターを明るくしすぎず、作業に支障が出ないよう十分な明るさ(机の上が300ルクス以上)に保ち、モニターの照度も、あまり高くならないように調整しましょう。パソコンの画面に外の光が入り込んでしまう場合は、ブラインドやカーテンを利用してください。
目が乾燥する環境を避ける1)
エアコンを使用すると部屋の空気が乾燥します。加湿器などを利用して湿度を調整しましょう。
パソコン作業をする方は、モニターが目線よりも下に来るように調整しましょう。特に、デスクトップパソコンを使っている方は、モニターが目よりも高い位置になりやすく、作業中、上目使いになっていることがあるので注意が必要です。上目使いで画面を見ていると、まばたきをしても目が完全に閉じていない「まばたき不全」の状態になってしまうことがあり、この状態が続くとさらに目が乾燥しやすくなります。
正しい使い方・ケアをする
コンタクトレンズを正しく安全に取り扱いましょう。
1日使い捨てタイプコンタクトレンズは、一度外したら必ず捨てて、新しいレンズに交換してください。
2週間タイプのような頻回交換タイプコンタクトレンズや1ヵ月タイプのような定期交換タイプコンタクトレンズを使っている方、またハードコンタクトレンズを使っている方は、毎日のケアをしっかりと正しく行い、レンズを清潔な状態に保つことが大切です。レンズケースにも汚れが溜まりますので、忘れずにケアしましょう。
正しいコンタクトレンズのケア方法についてはこちら
https://acuvuevision.jp/article/028
コンタクトレンズの種類を変更してみる
コンタクトレンズの種類を変更してみるのも選択肢の一つです。レンズ表面の涙を均一に安定させて上まぶたがスムーズに移動し摩擦を起こしにくくする工夫が施されているソフトコンタクトレンズも登場していますので、かかりつけの眼科に相談してみましょう。
まとめ
コンタクトレンズ装用時の目の乾きの原因と対策についてご紹介しました。「乾燥」と一言でいっても、原因はさまざまです。あなたの目の乾きに最適な対処法を眼科医に相談してみてください。
参考文献
1) 令和元年7月12日付け基発0712第3号 情報機器作業における労働衛生管理のためのガイドラインについて 厚生労働省労働基準局編
参照サイト
- 公益財団法人 日本眼科学会 目の病気 ドライアイ
https://www.nichigan.or.jp/public/disease/name.html?pdid=9 - 公益社団法人 日本眼科医会 パソコンと目
https://www.gankaikai.or.jp/health/42/ - 日本コンタクトレンズ学会 正しいコンタクトレンズのケア
http://www.clgakkai.jp/general/study.html


