目の焦点が合わない原因は?

目の焦点が合わない原因は?

目の焦点が合わない原因は?

目の焦点が合わない原因は?

疑われる病気と対策法を解説
「目の焦点が合わない」と感じたことはありませんか?焦点が合っていない状態が長く続くと、しだいに目が疲れてくるため、早めの対策が必要です。この記事では、目の焦点が合わない原因や考えられる病気、対処法などについて解説します。
作成日: 2022/12/08
更新日: 2023/10/25

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目次

 

? 目の焦点が合わない原因とは?

原因❶ 調節の異常(老視)

調節とは、ものにピントを合わせる機能のことで、ピントをうまく合わせることができなくなった状態を調節異常と言い、加齢に伴うものを老視(老眼)と呼んでいます1)
ヒトは近くのものを見るときには目の中でレンズの役割をしている水晶体を厚くしてピントを合わせていますが、この水晶体の弾力性は加齢とともに失われていき、近くのものを見ようとしても水晶体が厚くならずピントが合わなくなります。近くのものがぼやけて見えるため、「目の焦点が合わない」と感じるようになります。
老視は、40代前半から始まり、60歳頃までに少しずつ進行していきます2)。焦点が合っていない状態でものを見続けていると、目に疲れがたまってしまいます。老視と診断された場合は、無理をせずに老眼鏡を作りましょう。また最近は、遠近両用のコンタクトレンズが登場するなど、メガネへの依存が少ない生活がおくれるようになってきています。

原因② 屈折異常・不適切な矯正1)

屈折異常とは、目に入った光が網膜上でうまく焦点を結ぶことができない状態のことです。近視や遠視、乱視がこれにあたります。
見たいものに「ピントが合った」状態にするには、光を感じる「網膜」のところで、目に入ってきた光が焦点を結ばなければなりません。しかし、何らかの原因によって、うまく焦点を結ぶことができないと、文字通り「目の焦点が合わない」という症状が現れます。症状が続く場合は、眼科を受診して検査をしてもらいましょう。
また、メガネやコンタクトレンズを使用している場合でも、度数が合っていないなど矯正が不適切だと、焦点が合わず視界がぼやけます。メガネやコンタクトレンズを使っている人は、レンズの度数が自分の目に合っているか、定期的に確認してもらいましょう。

近視の目
近視の目
乱視の目
乱視の目
遠視の目
遠視の目

原因❸ ストレス

ストレスによって目の調節機能に不具合が起き、目の焦点が合わないと感じるようになることがあります。休憩時間や寝る前にストレッチをしたり、ぐっすり眠れるように睡眠環境を整えたりして、ストレスをためない生活を心掛けましょう。

原因❹ 眼精疲労1)

眼精疲労になると、目の焦点を合わせにくくなることがあります。
パソコンの画面など、近くのものを長時間見続けるような作業をすると、うまくピント調節ができなくなり、「焦点が合わない」と感じることがあります。

ピント調節のしくみ
遠くを見るとき
近くを見るとき

目の焦点と自律神経の関係

目のピント調節には自律神経が深く関係しています。
自律神経とは、体のさまざまな機能を調節している神経の総称で、交感神経と副交感神経の2つに分けられます。大まかに言うと、交感神経には体を緊張させるはたらきがあり、逆に副交感神経には体をリラックスさせるはたらきがあります。そのため、基本的に多くの人は、仕事をしたり運動をしたり、活動しているときには交感神経が、就寝時などリラックスしているときには副交感神経が相対的に強くはたらきます。
目のピント調整を担っている毛様体筋は、副交感神経の命令によって収縮します1)。つまり、近くのものを見るときに、副交感神経のはたらきが強くなるのです。しかし、日中パソコン画面を見ながら仕事をしている人の場合、目では副交感神経が強くはたらいているのに、体では交感神経が活発にはたらいているという矛盾した状況が生まれてしまいます。この矛盾した状況が、眼精疲労などの症状が出る原因の1つなのではないかと考えられています。

目の焦点が合わない時に疑われる
目の病気とは?

「目の焦点が合わない」と感じる場合、ものがぼやけて見えているときと、ものが二重・三重に見えているときがあります。上述した、老視や、近視・遠視では、ものがぼやけて見えます。乱視の場合は、ものが二重に見えることもあります。その他にも目の病気が原因で、ものがぼやけて見えたり、ものが二重・三重に見えたりして、「焦点が合わない」と感じることがあります。

病気❶ 仮性近視

仮性近視とは、近くのものを長時間見続けたことが原因で、遠くのものに焦点を合わせにくくぼやけて見えるようになった状態のことをいいます。パソコンやスマートフォンの液晶画面など、近くのものを長時間見続けると、毛様体筋の緊張がなかなか解けなくなってしまうために、この状態が起こるとされています。小学校低学年ぐらいの子供に多くみられる病気です。
仮性近視になってしまっても、生活習慣を見直すとともに適切な治療を行うことで、視力が回復する可能性があります。学校の検診などで視力が落ちてきたことを指摘されたら、早めに眼科医と相談しましょう。

病気❷ 斜視

斜視とは、眼位に異常を生じて左右の眼で見ている映像のバランスが崩れた状態のことをいいます。眼球を動かす神経や筋肉の異常が原因で起こるほか、脳に原因があるケースもあります。症状としては、両目でものを見るときに、ものが二重に見えることがあります。このような症状が現れたときは、すぐに眼科を受診してください。

病気❸ 加齢黄斑変性1,3)

加齢黄斑変性とは、加齢により網膜の中心部(黄斑)に障害が起こる病気です。視野の中央部が暗くなったり、ゆがんだりするほか、視力が低下してものがぼやけて見えたりすることがあります。病状が進行すると、失明してしまうこともあります。
この病気にかかるのはほとんどが50歳以上の人で、年齢が上がるほど発症率が高くなります。欧米では、加齢黄斑変性が高齢者の失明の原因の第1位となっており、日本でも高齢化に伴って患者数が増加傾向にあります。上記のような症状が現れた場合は、早めに眼科を受診しましょう。

病気❹ 白内障1,2)

白内障とは、水晶体が白く濁る病気です。水晶体が濁ることで光の透過が障害され、視界のかすみ・ぼやけのほか、まぶしさなど様々な症状が現れます。さらに白内障が進むと、不正乱視が生じたり近視が進んだりすることもあります。そのため、これまで使っていたメガネやコンタクトレンズの度が合わなくなりぼやけて見えるため、焦点が合わないと感じることもあります。また、片目に白内障が生じた場合には物が二重・三重に見えたりすることもあります。
白内障はさまざまな原因によって起こりますが、一番多い原因は加齢です。発症には酸化ストレスが関与していると考えられており、その他、ぶどう膜炎などの眼疾患に伴うものや、アトピー性皮膚炎や糖尿病、特定の薬の使用、紫外線への曝露などが原因で、白内障になることがあります。

若者にも「老眼」のような症状がでる人が増加

最近、「見ようとするものに焦点が合わない」、「近くのものや遠くのものが見えにくい」といった症状に悩む人が増えています。このような症状は、至近距離でスマートフォンなどを見続けることにより、ピント調節がうまくできなくなってしまったときにみられ、「スマホ老眼」と呼ばれることもあります。加齢に伴って起こる老眼とは違い、若者でも「スマホ老眼」になることがあります。スマートフォンの使用時間が長い人ほど、ピント調節力が弱くなっているとの報告もありますので4)、スマートフォンから離れる時間を作るなど、電子機器との付き合い方を一度見直してみましょう。

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ならない為にできることとは?

意識的に遠くに視線を向ける

スマートフォンの画面など近くばかりを見ていると、うまくピント調整ができなくなってしまいます。毛様体筋にかかる緊張を減らすために、遠くの景色をぼんやり眺めるなど、遠くを見る時間を意識的に作りましょう。

筋肉や自律神経の緊張をほぐす

天柱(てんちゅう)というツボには、自律神経のバランスを整え、頭痛や肩こり、眼精疲労を緩和する効果があるといわれています5,6)。休憩時間に手のひらや親指を使い、気持ちいいと感じる程度にやさしく押してみましょう。

イメージ図

天柱(てんちゅう):うなじの生え際の外側にあるへこんだ部分

こんな症状が出た場合は要注意!7)

目の焦点が合わなくなるのと同時に以下の症状が現れた場合は、脳梗塞や脳出血かもしれません。治療が遅れると体の麻痺や言語障害などの後遺症が残る場合もあります。早く治療を開始すれば後遺症が軽くなる可能性もありますので、出来るだけ速やかに医療機関を受診してください。

注意1頭を殴られたような激しい頭痛

注意2めまい

注意3うまく歩けない

注意4物につまずいてしまう

注意5ろれつが回らなくて話しにくい

注意6言葉を理解できなくなる

注意7手足に力が入らない

注意8片足を引きずってしまう

注意9体の片側だけ痺れる

まとめ

「目の焦点が合わない」という症状は、スマートフォンやパソコンを使いすぎたことによる疲れ目が原因で起こることがありますが、目や脳に隠れている重大な病気のサインとして現れることもあります。早めに対処して適切な治療を受ければ、視力が回復することもありますので、気になる症状があるときは医療機関を受診しましょう。

参考文献・サイト

  1. 医療情報科学研究所編、病気がみえる vol.12 眼科、株式会社メディックメディア、2019年
  2. 中澤満他、標準眼科学第14版、医学書院、2018年
  3. 公益財団法人 日本眼科学会
    https://www.nichigan.or.jp/public/disease/name.html?pdid=52
  4. 鈴木柚流、新潟医療福祉学会誌 19(1), 67-67, 2019
  5. 兵頭明、ビジュアル版 東洋医学 経絡・ツボの教科書、新星出版社、2020年
  6. 鈴木博助、日本鍼灸良導絡医学会誌 6(3), 1-5, 1976
  7. 一般社団法人 日本神経学会
    https://www.neurology-jp.org/public/disease/nosottyu_detail.html
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