まぶたがピクピク痙攣(けいれん)する原因は?
まぶたがピクピク動く症状
まぶたがピクピク動くとき、こんな状態になっていませんか?
「眼瞼ミオキミア」という病気では、以下のような症状が認められます。
- しばらくピクピクするのが続くが、次第に落ち着く
- ピクピクする部位はまぶたの一部だけで、周辺には広がらない
眼瞼ミオキミアは、まぶたにある眼輪筋という筋肉の一部に異常な興奮が生じて起こるといわれています。
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まぶたがピクピク動く原因として考えられること
眼瞼ミオキミアは、疲労の他、目の表面を刺激するような状態(結膜炎、ドライアイ、逆さまつ毛など)があっても起こりやすくなるようです。
長時間のパソコン・スマホの利用、肉体的・精神的な疲労、寝不足、合っていないメガネやコンタクトレンズの装用など、目の疲労にはさまざまな原因が考えられますが、まずはしっかり目を休めましょう。
まぶたの痙攣を起こす病気について
眼瞼ミオキミアの他にまぶたの痙攣を起こす病気としては、次のようなものがよく知られています。
病気① 眼瞼痙攣*5,6
目のまわりの筋肉が過剰に動き、まばたきがうまくできなくなる病気です。症状は通常、両目に起こることが多いといわれています。初めは目に違和感を覚え、その後まばたきの増加やまぶたの痙攣などの症状がみられるようになります。放置すると次第に進行し、最終的には自分の意志で目を開けていられなくなります。症状の進行は早くありませんが、放っておいても治りません。眼瞼痙攣は40代以降の女性に多いため、更年期に見られる症状の1つであると思い込み、放置してしまう人もいるようです。しかし、更年期と眼瞼痙攣は基本的に関係がありませんので、気になる症状がみられたら眼科を受診しましょう。重症の場合はボツリヌス注射で治療することもあります。
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病気② 片側顔面痙攣*6,7
自分の意志と関係なく顔面の筋肉が痙攣する病気です。多くの場合、顔の片側だけに痙攣が起こります。この病気は、顔面にある筋肉の運動を司る「顔面神経」の付け根が、血管に圧迫されることで起こると考えられています。この病気も中年の女性に多くみられます。通常、片方の目の周囲から痙攣が始まり、その範囲が次第に頬や口元へと広がっていきます。症状が軽い場合は、基本的に治療を行わず経過観察となりますが、気になる方は病院で相談してみるとよいでしょう。症状が強い場合には、ボツリヌス注射で筋肉の痙攣を止める治療を行うこともあります。
病気③ チック*8
本人の意志と無関係に急に体の一部が繰り返し動いてしまう病気です。小児や青年期に発症することが多く、片側顔面痙攣に似た症状(まばたきや顔しかめなど)が出ますが、これらの症状は基本的に自分の意志でコントロールできるため、多くの場合自然に消失していきます。チックの発症には脳機能の偏りや障害が深く関わっていると考えられています。
日常生活でできるまぶたの痙攣対策
対策① 適度に目を休める
目が疲れたと感じたら、無理をせずに目を休ませましょう。パソコンを使って作業をしている時は、1時間ごとに15分程度の休みをとり、窓の外をぼんやり見たりするなどして、目を休めると良いでしょう*1。
また、ホットアイマスクや蒸しタオルなどで目の周りを温め、血行改善を促すのもひとつの方法です。血行が良くなることで筋肉の疲労が和らぎ痙攣が改善することもあります。
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対策② 十分な睡眠時間を確保する
睡眠には、日中酷使した目を含めた体に休息を与えるという役割があります。最低でも6~7時間は睡眠時間を確保しましょう。質の良い睡眠をとるためには、寝る2時間前くらいからスマホなどデジタル端末をみないようにしたり、間接照明を利用して明るすぎない環境を作ったりすることが有効とされています*2。
短時間の昼寝も疲労回復には効果的です。ただし、昼寝の時間は15分から30分程度にとどめましょう。それ以上の昼寝をすると、脳が深い眠りに入ってしまい、起きたときに体のだるさを感じてしまうほか、夜なかなか寝付けなくなってしまう場合もあるからです*2,3。
対策③ カフェインを控える
カフェインには神経を興奮させる作用があるため、多量に摂取するとまぶたの痙攣を悪化させることがあります。
カフェインによって健康を害さないようにするには、健康な大人の場合、摂取量を1日あたり400mg(コーヒーの場合、1杯150mLとして4杯程度)までに抑えるべきとされています(妊娠中、授乳中の方はその半分、1日あたり200mgまで)*4。カフェインレスの飲料などをうまく利用しながら、カフェインを過剰に摂取しないように気をつけましょう。
以下に、カフェインを多く含んでいる代表的な飲み物と100mLあたりのカフェイン量を挙げました。飲み物を選ぶ際の目安にしてください。
- コーヒー:60mg
- 紅茶:30mg
- 煎茶・ほうじ茶:20mg
(いずれも100mLあたり)
また、エナジードリンクにも注意しましょう。缶1本あたり100mg前後のカフェインを含む商品もありますので*4、1日に何本も飲むのは控えてください。カフェインを摂取しすぎてしまったときは、体内から排出されやすくなるように、カフェインを含まない飲み物で水分をしっかりと摂ることが重要です。
まとめ
まぶたがピクピク動くのに気づいたら、まずは意識的に目を休めましょう。日常生活を振り返って、疲労を減らす方法を考えてみるのもいいかもしれません。症状が長引くなど気になる場合は、一度、眼科医に相談してみましょう。
- 令和元年7月12日付け基発0712第3号 情報機器作業における労働衛生管理のためのガイドラインについて 厚生労働省労働基準局編
https://www.mhlw.go.jp/content/000539604.pdf - 健康づくりのための睡眠指針2014 厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000042749.html - 林光緒他、生理心理学と精神生理学25(1): 45-59, 2007
- 農林水産省ホームページ
https://www.maff.go.jp/ - 眼瞼けいれん診療ガイドライン、日本神経眼科学会、2011年
- 医療情報科学研究所編、病気がみえるvol.12 眼科、株式会社メディックメディア、2019年
- 標準的神経治療:片側顔面痙攣、日本神経治療学会、2008年
- 星加明徳、日本視能訓練士協会誌18 26-31, 1990
●監修 宇津見眼科医院院長 1978年、北里大学医学部卒業後、慶應義塾大学医学部眼科学教室へ入局。その後社会保険埼玉中央病院眼科部長、済生会神奈川県病院眼科医長を経て、1990年、宇津見眼科医院を開設。 ■所属学会 |