コンタクトレンズはまばたきでずれる?原因や対処法を解説
コンタクトレンズがずれる原因
コンタクトレンズがずれる原因としては、目の乾燥や眼疾患など、目に由来した原因のほか、フィッティングや取り扱いなど、レンズに由来した原因が考えられます。ソフトコンタクトレンズとハードコンタクトレンズで若干違いはありますが、主な原因としては次のようなものがあります。
目が乾燥している
コンタクトレンズは、潤滑剤の役割をしている涙をクッションにして装用されています。涙が不足し、乾燥すると、まぶたとレンズの摩擦が大きくなり、まばたきをするだけで、レンズがずれることがあります。また、目が乾燥しているときに、目をこすったり、激しい運動をすると、レンズがずれたり外れたりすることもあります。
コンタクトレンズのフィッティングが不良である
コンタクトレンズは目の上で正しい位置にありながら、まばたきの時には適切に動く必要があります。しかし、フィッティングが不良だと、装用中にレンズがずれてしまうことがあります。また、たとえフィッティングが良好なコンタクトレンズでも、レンズの表裏や左右を間違えて装用してしまうと、良好なフィティングが得られず、レンズがずれたり外れたりしやすくなります。
コンタクトレンズのフィッティングは、ベースカーブやサイズといったレンズの「形」が同じでも、製品が違うと変わってきます。同じ人でも、左右の目で違う場合もあります。必ず検査を受け、自分の目に合ったコンタクトレンズを選ぶことが大切です。
コンタクトレンズに傷や汚れがある
コンタクトレンズの傷や汚れ、変形なども、レンズがずれる原因になります。
コンタクトレンズを取り扱う時には石鹸で手を洗い、きれいな布などで手を拭いて、装用前にレンズに破損などの不具合がないかどうか確認しましょう。化粧品の成分はレンズ汚れの原因になるので、コンタクトレンズはメイク前に装用し、メイク落とし前に外す 「コンタクトレンズファースト」のアプローチが良いでしょう。
目に病気や炎症がある
目の充血、目やになど、結膜炎の症状があると、コンタクトレンズがずれることがあります。また、上まぶたの裏側に大きなブツブツ(乳頭)ができる巨大乳頭結膜炎や、角膜(くろ目)が変形して突出する円錐角膜でも、レンズがずれることがあります。このような疾患が疑われる場合には、レンズの装用を中止し、眼科を受診しましょう。
コンタクトレンズのずれが気になる場合の対処法
コンタクトレンズのずれが気になる場合の対処法として、どのようなものがあるでしょう。レンズがずれる原因別にご紹介します。
乾燥への対策を行う
まばたきは、涙の分泌を促したり、下まぶたのところにたまった涙を目の表面に塗り直したりする役割があります。涙が目の表面を覆うことで、目は乾燥から守られます。また、コンタクトレンズ用の目薬や人工涙液の点眼など、目の乾燥への対策を行うことで、コンタクトレンズのずれや張り付きを緩和できる場合があります。
装用方法が誤っていないかどうか確認する
コンタクトレンズには表と裏があります。硬いハードコンタクトレンズが裏返しになることはめったにありませんが、ソフトコンタクトレンズは軟らかい素材でできているため、裏返しになってしまうことがあります。
ソフトコンタクトレンズを指の上にのせて横からみたときに、レンズがお椀型の自然なカーブを描いていれば表側(正常)、レンズの縁が少し反り返っていれば、レンズは裏側(裏返し)になっています。反り返ったレンズを装用しても目にはフィットしないので、コンタクトレンズがずれてしまうことがあります。
コンタクトレンズがずれてしまったら、レンズの表裏・左右など、レンズが正しく装用できているかどうかを確認しましょう。表裏識別マーク(アキュビュー® シリーズの場合は“123”という数字*)がついているソフトコンタクトレンズの場合、このコードで表と裏を見分けることができます。
*一部対応していない製品もあります
正しいレンズケアを行う
正しいレンズケアをしていないと、ずれの原因となる結膜炎になることがあります。また、ソフトコンタクトレンズが保存液にきちんと浸かっていないと、レンズが変形してしまうこともあります。普段から正しいお手入れをして、コンタクトレンズを清潔に保つことは、これらの予防につながります。ケアはきちんと正しく行いましょう。なお、細菌や雑菌の温床になりやすいコンタクトレンズケースは清潔に保ち、添付文書に従い定期的に交換しましょう。
眼科で処方と定期検査を受ける
コンタクトレンズを安全・快適に装用するには、まず眼科でコンタクトレンズの処方を受けましょう。また、眼科医の指示に従って定期検査を受け、自分の目に合ったレンズを装用することが重要です。特に、目の炎症など何か異常を感じたら、そのまま放置せず、必ず眼科医に相談しましょう。
なお、眼科で処方されたものと同じベースカーブやサイズの別製品を、ネットで購入している人がたくさんいます。しかし、フィッティングは製品ごとに変わるので、眼科で製品ごとにフィッティングの確認を受けるようにしましょう。
コンタクトレンズがずれて見つからない・外せない場合の対処法
コンタクトレンズがずれてしまった場合には、まずは慌てずレンズの位置を確認しましょう。どうしても目の中に見つからない場合でも、目の構造上、コンタクトレンズが目の裏に入ってしまうことはありません。手鏡などを使用して、落ち着いてまぶたの奥やしろ目(結膜)の部分を確認しましょう。それでも見つからない場合や、コンタクトレンズが張り付いて外せない場合には、無理をせず、眼科を受診しましょう。
まとめ
まばたきによるコンタクトレンズのずれは、目の状態や、装用しているレンズがハードかソフトかなどにより、原因や対処法が異なります。まばたきをするたびにコンタクトレンズがずれるようであれば、結膜炎など何らかの疾患が原因になっている場合もあります。放置せず眼科医に相談しましょう。
<参考資料>
- 糸井 素純 他 編:「コンタクトレンズ眼障害」 初版 中山書店, 2006
- 坪田 和夫 他 編:「眼科プラクティス 27.標準コンタクトレンズ診療」 第1版 文光堂, 2009
- 一般社団法人 日本コンタクトレンズ協会:コンタクトレンズの使用方法について
https://www.jcla.gr.jp/contactlens/howtouse.html - 公益財団法人 日本眼科学会:コンタクトレンズ診療ガイドライン(第2版)
https://www.nichigan.or.jp/member/journal/guideline/detail.html?itemid=298&dispmid=909
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