初めてコンタクトレンズを購入する方へ~眼科での検査の流れやよくある疑問~
大人になってからコンタクトレンズを使い始めることも可能
最近では、若い頃からコンタクトレンズの装用を始める人が増えていますが、大人になってからでも遅くありません。技術の進歩やデザインの多様化などによって選択肢が増えているため、年齢に関わらず、多くの人が自分に合ったコンタクトレンズを選べるようになりました。
コンタクトレンズを使い始める理由もさまざまです。「便利だから」、「おしゃれのため」といった理由のほか、老眼用としても遠近両用のコンタクトレンズを選ぶ人も多くなってきています。
コンタクトレンズのメリット・デメリットは?
コンタクトレンズは、目の表面に直接装用するため、次のようなメリットがあります。
- 実際の物の大きさ、形との差が小さく、より自然に見える。
- 強度近視の方や視力の左右差が大きい方の場合、視力矯正効果が大きい。
- 湯気の立つ熱いものを食べる際やマスク着用時などでも、曇って見づらくなることがない。
- 汗などでずれにくい。
- ソフトコンタクトレンズの場合、衝撃で外れてしまうことが少ないため、スポーツに適している。
一方で、コンタクトレンズは目にとって「異物」です。安全に装用するためには、次のような点に注意が必要です。
- 決められた装用時間を守らなかったり、日常のレンズケアを怠ったりすると、目にトラブルが生じることがある。
- 目にゴミが入ると痛みを感じる。
- しっかり管理しないと、目の分泌物や細菌などによってレンズが汚染されてしまうことがある。
- 使い始めるときに、着け外しの練習をする必要がある。
- 目に病気がある場合には装用できない。
以上のようなメリット・デメリットをよく理解した上で、使用説明書(添付文書)をよく読んだ上で、正しくコンタクトレンズを装用しましょう。また、眼科で定期的な検査も受けましょう。
コンタクトレンズの種類について
一口にコンタクトレンズと言っても、さまざまな種類があり、①素材 ②装用方法 ③装用スケジュールなどによって分類されています。それぞれの特徴を理解した上で使用することが大切です。
1 素材による分類
ハードコンタクトレンズ:ほとんど水分を含まない硬い素材(フッ素系、シリコン系などのプラスチック)でできたレンズです。これまでに酸素を通しやすいレンズと通しにくいレンズの2種類が販売されていますが、現在では酸素を通しやすい(酸素透過性)素材のレンズがほとんどです。
ハードコンタクトレンズには、長時間の装用でも目に負担が少なく、ソフトコンタクトレンズに比べて耐久性に優れているという特長があります。タンパク質除去のケアが必要ではあるものの、取り扱いは比較的簡単です。さらに、ハードコンタクトレンズは矯正力が強いため、不正乱視(通常なめらかになっている目の屈折面が不規則にゆがんでいるために起こる乱視)の矯正にも利用されているほか、装用者本人が目やレンズの異常に気づきやすいと言われています。
一方、ソフトコンタクトレンズに比べて、破損しやすい、レンズが小さいためズレやすい(直径は約8〜9 mm)、異物感があるため慣れるまでに少し時間がかかる、といった面もあります。
ソフトコンタクトレンズ:水分を多く含む素材で作られたレンズです。含まれる水分の割合(含水率)は、素材によって異なります。
ソフトコンタクトレンズは、柔らかく目になじみやすいため、装用感が良いのが特長です。また、直径が約13.8〜14.5mmとハードコンタクトレンズよりも大きく、ズレにくいという長所もあります。
ただし、レンズに水分を含んでいるため、細菌が繁殖しやすく、1日交換タイプ以外は消毒などのケアが毎日必要です。
2 装用方法による分類
終日装用コンタクトレンズ:起きている間に装用して、寝る時に外すタイプ。
連続装用コンタクトレンズ:連続して装用できるタイプ。
角膜矯正用コンタクトレンズ:睡眠時のみに装用するタイプ。オルソケラトロジーという近視矯正を行う場合にのみ使用します。
3 装用スケジュールによる分類
1日交換タイプソフトコンタクトレンズ:1回使用して外した後は再使用しないタイプ。レンズケアは必要ありません。
頻回交換タイプコンタクトレンズ:定期交換タイプと同様、目から外すごとにレンズケアを行い、継続使用するタイプです。同じレンズを使用できる期間には、2週間タイプ、1カ月タイプなどがあります。
定期交換タイプコンタクトレンズ:目から外すごとにレンズケアを行い、継続使用するタイプ。ソフトとハードの両方があります。同じレンズを使用できる期間はレンズの種類によりますが、使用期間が過ぎたら新しいレンズに交換します。
コンベンショナル(従来タイプ)レンズ:レンズケアを行いながら長期間(通常1〜2年)使用するレンズ。
このように、コンタクトレンズにはさまざまな種類があります。あなたのライフスタイルに合ったものを、眼科医とよく相談して選びましょう。
初めてのコンタクトレンズ購入時に眼科で検査する際の流れ
コンタクトレンズを初めて購入するときには、特に眼科の受診が重要なポイントになります。コンタクトレンズは、デリケートな目に装用する「高度管理医療機器」ですので、装用によって健康を害することがないか、事前に確認する必要があるためです。
眼科ではまず、本人の健康状態(目やその他の病気、アレルギーの有無など)、装用の目的、使っている目薬の種類などについて聞かれます。その後、目の状態を詳しく調べていきます。具体的には、まず、屈折検査(近視や遠視、乱視を機器を使って測定する)や矯正視力の確認や現在使っているメガネの度数の確認などを行い、目の表面に傷や炎症がないか、涙の状態などを検査します。
これらの検査で、コンタクトレンズを装用しても問題がないと確認された人は、生活スタイルや希望などを考慮した上で実際に使うレンズを選びます。また、コンタクトレンズを初めて装用する人は、つけ外しの方法やレンズケアの方法、コンタクトレンズ装用時の注意点、定期検査の必要性などについて指導を受けます。
コンタクトレンズに慣れるには?
まずは、コンタクトレンズのつけ方、外し方に慣れましょう。つける前には石鹸と流水で手を良く洗い、目やレンズを傷つけないよう爪も切っておきましょう。つけ外しの方法やコツは、ソフトコンタクトレンズ、ハードコンタクトレンズで異なりますので、添付文書を読んでよく確認してください。
コンタクトレンズは、目にとって「異物」ですので、はじめのうちは誰でも装用しているレンズの存在が気になってしまいます。個人差はありますが、1週間程度かけて徐々に装用時間をのばしていき、少しずつ慣れていくのが普通です。初日からいきなり長時間装用することはできませんので、焦る必要はありません。眼科医の指示に従いながら、自分に合ったペースで少しずつレンズに慣れていきましょう(装用スケジュールは添付文書にも記載されています)。
コンタクトレンズの正しいケア方法
レンズの取り扱いやケア方法を誤ると、さまざまな目のトラブルを招いてしまいます。ハードタイプ、ソフトタイプいずれの場合でも、使用説明書(添付文書)にしたがって適切なケアを行うことが大切です。また、レンズのタイプにかかわらず、つけ外しやレンズケアの前には必ず流水と石鹸で手をきれいに洗ってください。
ハードコンタクトレンズの場合:洗浄保存液は、レンズの洗浄と保存の両方に使うことができます。
レンズケアを行う際は、まず洗浄保存液をレンズにつけ、指先で十分にこすり洗いしてから水道水でよくすすぎます。その後、洗浄保存液を入れたレンズケース内でレンズを保存します。
タンパク質などの汚れを落とすには、通常のレンズケアとは別に分解除去処理が必要ですが、「酵素入り」の洗浄保存液を使えば、この処理は必要ありません。
ソフトコンタクトレンズの場合(1日交換タイプを除く):水分を多く含むソフトレンズは、細菌などが繁殖しやすいため、外すたびに消毒が必要です。マルチパーパスソリューションという消毒液を使うと、洗浄、すすぎ、消毒、保存を、すべてこの1つの液で行えます。ほかにも、消毒効果の高い消毒液として、過酸化水素タイプやポピドンヨードタイプの消毒液がありますが、これらのタイプは消毒と中和作業が必要です。
初めての購入に関するよくある疑問
初めてコンタクトレンズを購入する際に、よくある疑問について回答していきます。
保険証は必要?
医療機関での受診の際には、基本的に保険証は忘れずに持参しましょう。
初回眼科受診では時間がかかる?
初回眼科受診の場合は、購入者のライフスタイルや目の状態に合ったコンタクトレンズを処方するため、詳しい検査を行うことが多くなっており、2回目以降の受診と比べて時間がかかる可能性があります。時間に余裕をもっていきましょう。
うまく装用できるようになるまで時間がかかる?
コンタクトレンズを使い始めたばかりの人は、扱いに慣れないため、つけ外しに時間がかかることが多いです。自分でつけ外しできるようになるまで、しっかり練習しましょう。
使っているメガネの度数がわからなくても大丈夫?
大丈夫です。コンタクトレンズは目に密着しているのに対し、メガネのレンズは目との距離が離れているため、度数が同じになるとは限りません。眼科での検査でコンタクトレンズの度数を決めていくので、使っているメガネの度数がわからなくても大丈夫です。
コンタクトレンズの使用は何歳から?
コンタクトレンズを使い始める年齢に制限はありません。最近では、小学生・中学生の頃から装用を始める人も増えています。しかし、使用方法を誤ると、目のトラブルを招いてしまう可能性もあるため、正しいケアができる年齢になってから装用を始めるほうが良いでしょう。
一方で大人の場合は、眼科医の判断によりますが、何歳になったらコンタクトレンズ装用をやめなくてはいけないということはありません。老眼用の遠近両用コンタクトレンズもあり、最近では種類も増えてきています。
まとめ
コンタクトレンズは、レンズ素材やケア用品の改良や進化、1日交換タイプのレンズの登場などにより、以前より取り扱いがしやすくなったこと、多様な製品が普及したこともあり、装用者数が増加しました。しかし、それに伴って、目のトラブルを抱える人も多くなってきました。コンタクトレンズの使用にあたっては、定期的に眼科を受診して目の健康状態を確認するともに、眼科医の指示を守り、添付文書をよく読んで適正に使用するようにしましょう。
参考サイト
- 独立行政法人 医薬品医療機器総合機構
https://www.pmda.go.jp/safety/consultation-for-patients/on-devices/qa/0015.html - 一般社団法人 日本コンタクトレンズ協会 http://www.jcla.gr.jp/
- 日本コンタクトレンズ学会 http://www.clgakkai.jp/
- 公益財団法人 日本眼科学会 コンタクトレンズ診療ガイドライン(第2版)
https://www.nichigan.or.jp/member/journal/guideline/detail.html?itemid=298&dispmid=909 - 公益社団法人 日本眼科医会 コンタクトレンズ関連情報
https://www.gankaikai.or.jp/contact-lens/ - MSDマニュアル プロフェッショナル版(https://www.msdmanuals.com/ja-jp/%E3%83%97%E3%83%AD%E3%83%95%E3%82%A7%E3%83%83%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%8A%E3%83%AB)
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