遠近両用コンタクトレンズと「瞳孔」の関係とは?
瞳孔の大きさは一定ではない
鏡で自分の目を見てみましょう。くろ目の真ん中に、ひときわ黒いマルがあるのがわかりますか?ここは、瞳孔(どうこう)と呼ばれ、くろ目を通った光がさらに目の中に進む時に通過する穴であり、目の中を部屋にたとえると、窓のようなものです。ヒトは、くろ目を通った光すべてを感じているのではなく、瞳孔を通った光を感じているのです。
瞳孔は、暗いところでは大きくなり、明るいところでは小さくなり目に入る光の量をコントロールしています。
明るさ以外にも瞳孔の大きさが変わることもあります。例えば、怒った時、びっくりした時、などです。瞳孔の大きさは自律神経の力関係によってコントロールされているため、交感神経のほうが強いときは瞳孔は大きく、副交感神経のほうが強いときは瞳孔は小さくなるのです。
瞳孔の大きさは年齢・目の度数によって異なる
実は、このような情動や明暗による瞳孔の大きさの変化のほかに、年齢や目の度数(近視なのか遠視なのか)によっても、瞳孔の大きさは異なるのです。自律神経の力関係が変わってくるため、瞳孔は、加齢とともに徐々に小さくなっていきます。また、近視の人は遠視の人よりも瞳孔が大きいと言われています。
遠近両用コンタクトレンズの見え方と瞳孔の大きさ
遠近両用コンタクトレンズは、1枚のレンズの中に近くを見るための度数(近用度数)と遠くを見るための度数(遠用度数)が存在します。レンズ中心に近用度数がある製品の場合、レンズ周辺にある遠用度数へと、レンズ中心から外側に向かって徐々に度数が変化していく作りになっています。遠くから近くまで自然に見えるよう矯正するには、この遠用度数を通過する光の量と、近用度数を通過する“光の量のバランス”がとれていることが大切です。同時に、そのバランスを保ったまま、目の窓である瞳孔を通過しないと、良い見え方にはなりません。
例えば、加齢にともない瞳孔が小さくなると、レンズの外側にある遠用度数を通過する光が、瞳孔を通りにくくなります。そうすると、近くは変わらずよく見えますが、遠くがだんだん見えにくくなってきてしまいます。
そうならないように、加齢や目の度数に伴う瞳孔の大きさの違いを加味して作られた遠近両用コンタクトレンズもあります。この場合、瞳孔の大小にかかわらず、”光の量のバランス“が維持できるため、近視でも遠視でも、歳を重ねても、遠くから近くまで自然な見え方を得ることができそうですね。
老眼は、自覚し始めた後も10年以上の歳月をかけて少しずつ進行します。それに伴い、見え方も少しずつ調整をしないと、自然な見え方は維持できません。遠近両用コンタクトレンズを使い始めた後も、定期的に眼科で検診をうけるようにしましょう。
まとめ
瞳孔は、光の明るさや情動のみならず加齢によっても大きさが変化します。また、目の度数によって大きさが異なります。
遠近両用コンタクトレンズにおいては、1枚のコンタクトレンズの中で遠くを見る場所と近くを見る場所がバランスよく配置されていことはもちろん、このバランスの良さが、年齢・目の度数にかかわらず、つまり瞳孔の大きさの違いにかかわらず、保たれていることが大切です。
老眼は少しずつ進行します。遠近両用コンタクトレンズを使い始めた後も、定期的に眼科で検査を受けるようにしましょう。