
「結膜下出血」とは?白目が赤い原因や治療について

白目が赤いのは充血?出血?
白目が赤くなった場合に考えられるのは、「充血」や「結膜下出血」です。
充血とは、白目の部分にある血管が拡張して目立つようになった状態をいいます。目の血管は細いため、普段は外から見ても目立ちませんが、拡張すると赤く見えるようになります。一方、結膜下出血とは、結膜の下にある小さい血管が破れて出血してしまった状態のことです。
充血の特徴や症状
充血は、白目の部分が網目状に赤くなるのが特徴です。
充血のなかでも最も起こりやすいとされているのが、「結膜充血」と呼ばれるものです。細菌やウイルス、花粉、ゴミなどが原因となり結膜炎が起こったときに見られます。黒目に近い部分ほど赤色が薄く、まぶたの裏側にも充血が見られるという特徴があります。
また、黒目の周り(角膜の周囲)が網目状に赤くなる「毛様充血」や、強膜と結膜の間にある血管が拡張して赤くなる「強膜性充血」といったタイプの充血もあります*1。このような充血が見られた場合は、ぶどう膜炎や緑内障、全身の炎症性疾患などが隠れている可能性もあるため、眼科など適切な医療機関を受診しましょう。

充血の症状が出たときに、市販の目薬を使用している人もいると思います。しかし、市販の目薬に含まれる成分が、逆に症状に適切でない可能性があります。症状が続く場合は、自分の判断で市販の目薬を長期間使い続けることはせず、眼科医に相談しましょう。
結膜下出血の特徴や症状
軽度の結膜下出血の場合は、白目の中に赤い点のようなものができますが、ひどい場合は、白目の部分が真っ赤に塗りつぶされたようになります。少し目がゴロゴロすると感じる人もいますが、多くは無症状で、痛みやかゆみを感じたり、視力低下が起こったりすることはほとんどありません。通常の白目に戻るまでには少し時間がかかりますが、たいていの場合は自然に元に戻ります。しかし、なかなか症状が治まらない場合は、別の疾患が原因となっている可能性もあるので、早めに眼科を受診しましょう。

(イメージ図)
結膜下出血の主な原因
結膜下出血は、以下のような原因で起こることがあります。
- ケガ、物が目に当たった
- ドライアイやアレルギー性結膜炎などによるかゆみのため、目を強くこすってしまった
- 重いものを持ったり、ふんばったりした
- ソフトコンタクトレンズ脱着時に結膜を傷つけてしまった
- 高血圧や糖尿病、腎臓病、白血病などの全身性の病気がある
異物が目に刺さったことで結膜下出血が起こっているケースでは、穿孔創(せんこうそう:目に穴が開いた状態)を伴っていたり、異物が目の中に残っていたりする場合があるので注意が必要です。
結膜下出血は、そのほとんどが「特発性出血」、つまり原因不明の出血です。しかし近年は、この特発性出血が、結膜弛緩と関連しているのではないかと考えられています。結膜弛緩とは、白目の粘膜部分(結膜)が弛緩し、たるんだ状態のことをいいます。もともと結膜には、眼球が動けるように適度なゆるみがあり、歳を取るとこのゆるみが大きくなっていきます。しかし、結膜弛緩といえるレベルにまで結膜のゆるみが大きくなると、目の中にある血管が折れ曲がってしまうことに加えて、たるんだ結膜がまばたきのたびに眼球内を動き回って血管との間に摩擦を生じるため、血管が破れやすくなってしまいます。
結膜下出血の治療・対処法は?
結膜下出血がみられた場合は一度眼科を受診するようにしましょう。たいていの場合、治療しなくても出血は自然に吸収されて、きれいな目に戻ります。1~2週間ほどで自然に回復することが多いですが、出血がひどい場合は治るまで2~3ヵ月かかることもあります。
頻繁に結膜下出血が起こるときは、動脈硬化や糖尿病、高血圧などのほか、紫斑病や白血病といった血が止まりにくくなる病気が隠れている可能性もあるため、内科の検査を行うことがあります。
コンタクトレンズの使用はNG
白目の部分が赤くなっているなどの症状がある場合は、コンタクトレンズの装用を止めましょう。目に異常がある時に無理をしてコンタクトレンズを使用すると、症状が長引いたり、症状を悪化させたりすることがありますので、まずは医療機関を受診しましょう。
まとめ
白目の部分が赤くなる原因の1つとして、結膜下出血が挙げられます。通常1~2週間ほど、長くても2~3ヵ月ほどで自然に治ることが多いですが、結膜下出血がみられたら一度眼科で診てもらいましょう。また、目の赤みがなかなか治らないときや、頻繁に結膜下出血が起こるときは、別の疾患が原因となっている可能性があるので、眼科医に相談してください。
- 中澤満他、標準眼科学第14版、医学書院、2018年


