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ドライアイの検査って、どんなものですか?

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涙液は抗菌成分やミネラルを含む水分と、ムチンと呼ばれる粘液から構成され、最表面は薄い油の層で覆われています。涙液は目の表面を潤しながら酸素や栄養を目の表面に供給するとともに、抗菌成分微生物の感染を予防する働きがあります。ドライアイは、涙液量の減少や、涙液の質が低下することで涙液の安定性が低下し、目の乾燥感や痛み、不快感や見えづらさといった多彩な症状が起こる病気です。ドライアイはさまざまな原因があるとされます。

涙液の量が減少するタイプのドライアイの代表として、シェーグレン症候群があります。この病気はリウマチに合併することが多く『自己免疫疾患』に分類されます。涙液を分泌する腺が破壊されるために目の表面がひどく乾燥し、目が開けにくい、ゴロゴロする、痛い、まぶしいなどの強い不快感を自覚します。また、中高年の女性では、シェーグレン症候群でなくても涙液量は低下しやすく、目の不快感や疲労感が生じます。
一方、涙液の質の低下には、ムチンと油層が関与します。ムチンは目の表面の細胞から分泌され、涙液が目の表面に均一に分布させる役割があります。また、油層はマイボーム腺と呼ばれる瞼の腺から分泌されますが、加齢や炎症などが原因で油の成分が変化して涙液の安定性が低下します。いずれの場合でも、涙液の質が低下すると均一な涙液が形成されず、目の不快感が増強します。

ドライアイの検査方法には、以下のようなものがあります。

〇涙液の量を調べる「シルマー試験」
目盛りのついた専用のろ紙を瞼の縁に5分間はさんで、ろ紙が涙で濡れた長さを測ります。濡れたろ紙の長さが5 mm以下の場合、涙液の量が少なくなっていると判断します。

〇目の傷の有無を調べる「生体染色顕微鏡検査」
眼の表面の傷はフルオレセインという黄~橙色の蛍光色素液を点眼し、スリットランプと呼ばれる顕微鏡を使って傷を染色して傷有無や程度を確認します。

〇涙液の質を調べる「涙液層破壊時間(tear film break-up time: BUT)検査」
フルオレセインを点眼し、瞬きを10秒我慢してもらうと、涙液が蒸発して黒目の表面が露出します。これを「涙液層の破壊(tear film break-up)」といい、涙液層の破壊が出現するまでの時間を「涙液層破壊時間(BUT)」といいます。正常では瞬きを10秒我慢しても涙液層の破壊は見られませんが、涙液の質が低下したドライアイではBUTが5秒以下で涙液破壊が観察されます。通常、生体染色顕微鏡検査と同じ染色液を使うので、BUT検査と生体染色顕微鏡検査は同時に行われます。

シルマー試験はシェーグレン症候群の診断に用いる検査で、ろ紙を目に5分間当てますので、検査中に痛みを伴い、検査後も多少の違和感が残ります。シェーグレン症候群以外の一般的なドライアイの診断には、フルオレセイン染色を用いてスリットランプで観察するだけなので、痛みはなく短時間で終了します。

スマホやパソコンなどデジタル画面を使って長時間作業する場合や、コンタクトレンズを装用している場合は、ドライアイを起こしやすいといわれています。放置すると重症化する恐れもありますので、目の乾きや目の疲れが気になったら早めに眼科を受診しましょう。

ジョンソン・エンド・ジョンソン株式会社 ビジョンケア カンパニーが、 ひがしはら内科眼科クリニック・副院長 東原尚代先生監修のもと、編集しています。