めまもりプロジェクト-糖尿病網膜症

めまもりプロジェクト-糖尿病網膜症

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糖尿病網膜症とは?

突然の視力低下もある?
治療法も併せて解説

厚生労働省が2017年に実施した調査では、 糖尿病の患者数が約328万人1)と過去最高を記録しており、 今や糖尿病は誰もがかかりうる病気になったといえるでしょう。 糖尿病の恐ろしさの1つは合併症です。 なかでも糖尿病網膜症は、気づかないうちに進行することも多いため、 症状が現れる頃には失明寸前の状態になってしまっているケースもよく見られます。 ここでは、糖尿病網膜症の原因や症状、治療法や予防法について解説します。

糖尿病網膜症とは?

糖尿病網膜症とは、糖尿病が原因となって網膜の血管に障害が起き、視力に様々な悪影響が及んだ状態のことです。糖尿病腎症、糖尿病神経障害と合わせて、糖尿病の3大合併症の1つとされています。糖尿病に対する適切な治療を行わないと、糖尿病の患者さんは、診断から数年~10数年で糖尿病網膜症を発症します。かなり進行するまで自覚症状がないことが多く、注意が必要です。現在、成人の失明原因の第3位2)であり、日本人の糖尿病患者が糖尿病網膜症を発症する率は年3.83%と報告されています3)

糖尿病網膜症の原因

糖尿病網膜症の原因は、網膜にある細い血管の障害(細小血管障害)です。
糖尿病では、血管の中を流れている血液の糖濃度が高く(高血糖)になりますが、この状態が長く続くと、細い血管が徐々に傷つき、変形したり詰まったりして、血流が悪くなります。網膜には細い血管が張り巡らされており、この血管から供給される栄養や酸素を利用することで、網膜は機能しています。そのため、高血糖によって血管の障害が起きて十分な血流が確保できなくなると、視力に悪影響が及んでしまうのです。

糖尿病網膜症の病期と症状

糖尿病網膜症は、大きく3つの病期に分けられており、単純糖尿病網膜症、増殖前糖尿病網膜症、増殖糖尿病網膜症の順に進行していきます。

単純糖尿病網膜症

この段階では、自覚症状はほとんどありません。眼底検査を行うと、細い血管の壁が盛り上がってできる血管瘤(毛細血管瘤)や、小さな出血(点状出血やそれより大きめの斑状出血)、血管から漏れ出てきた脂肪やタンパク質が沈着してできたシミ(硬性白斑)、血管が詰まってできたシミ(軟性白斑)などがみられます。

増殖前糖尿病網膜症

この段階になると、血管の詰まりが広範囲にわたり、網膜に十分な酸素が供給されなくなります。すると、この酸欠状態を解消するために、新しい血管(新生血管)を作る準備が開始されます。そのため、この時期には、多数の軟性白斑、静脈の異常、不規則な形の毛細血管、などがみられます。目のかすみなどの症状を自覚することが多いですが、全く自覚症状がないこともあります。

増殖糖尿病網膜症

新生血管が網膜や硝子体に向かって伸びてきている段階です。新生血管の出現自体が自覚症状を引き起こすことはありませんが、新生血管はもろくて破れやすいため、硝子体内で出血が起こることがあります。

硝子体は眼球の大部分を占める透明な組織です。ここで出血が起きると、視野に黒い影やゴミの様なものが見えたり(飛蚊症)、目の前に赤いカーテンを引いたように見えたりします。出血量が多いと視力が急に低下します。また、かさぶたのような膜(増殖組織)が出現し、これが網膜をひっぱって網膜剥離(牽引性網膜剥離)を起こすことがあります。

進行のスピードには個人差があります。血糖コントロールをきちんと行っている人では進行が遅く、途中で進行が止まったり、状態が安定したりすることもあります。比較的若い人(40~50歳以下)では進行が速いため、注意が必要です。

また、糖尿病の患者さんの目は、網膜症以外にも、糖尿病黄斑浮腫という状態になることがあります。黄斑というのは、視力において最も大事な網膜の中心部のことで、この部分に浮腫(むくみ)が生じることを黄斑浮腫といいます。糖尿病黄斑浮腫は、上に示した網膜症のいずれの病期においても発生する可能性があり、視力低下やものが歪んで見えるなどの症状が現れます。

糖尿病網膜症の検査方法

眼底検査を行い、目の状態を把握します。
糖尿病網膜症は、小さな眼底出血から始まりますが、この時点では自覚症状が全くないため、どの程度進んでいるか患者さん自身では分かりません。そこで、病状の進行度を確認するために、散瞳(目薬をつけて瞳孔を開くこと)精密眼底検査を行います。この検査は、眼底で起きている小さな出血を見つけることができるため、自覚症状がない段階でも病気の重症度を判定することができます。

糖尿病網膜症の治療法

糖尿病網膜症の治療法には以下のようなものがあります。進行の程度や病状に合わせて、適切な治療方法や治療時期を選択します。なお、現時点では、一度障害を受けた網膜を元の状態に戻す治療方法はありません。ここに記載する方法はこれ以上病状が進行しないようにするためのものです。

❶光凝固術

レーザー光を照射して網膜を焼くことで、網膜症の進行を防ぐ治療法です。
網膜症が進行してしまう要因の1つは、網膜における酸素不足です。酸素が足りない状態が続くと、不足した酸素を補おうとして新生血管が網膜に伸びてきてしまいます。そこで考え出されたのが、網膜の一部をレーザー光によって焼いてしまうという方法です。網膜を焼くことで、網膜が必要とする酸素の総量を減らし、相対的に酸素不足を解消するのです。結果として、新生血管の発生を予防したり、すでに出現してしまった新生血管が退縮したり、といった効果を得ることができます。
ただし、光凝固を実施した箇所では、網膜の機能が落ちてしまいます。網膜全体を救うために、やむを得ず行う治療といえます。治療後には、視力が低下してしまうこともあります(視力低下が起こらない場合もあります)。また、この治療は、網膜症の悪化を防ぐものであり、網膜を元の状態に戻すことを目的とした治療ではありません。一方、光凝固術には、外来通院で治療でき、点眼麻酔だけで安全に行えるというメリットもあります。レーザーの照射回数や照射範囲は、網膜症の進行の程度に合わせて決定します。失明を予防できる可能性のある大切な治療の1つです。

❷硝子体手術

硝子体手術は、眼球に細い手術器具を挿入して、目の中の出血や増殖組織を取り除いたり、はがれた網膜を元に戻したりする治療法です。また、網膜がはがれる原因となっている場所にレーザーを当てて、再出血や網膜剥離の再発を予防します。光凝固術で網膜症の進行を予防できなかった場合や、糖尿病網膜症と診断された時点で網膜剥離や硝子体出血が生じている場合に行われます。

❸抗VEGF療法

糖尿病患者さんの目は、「血管内皮増殖因子(VEGF)」というたんぱく質が増加しやすい傾向にあります。このたんぱく質は、血管を増やすはたらきを持っているため、血管新生を助長したり、さらには網膜や黄斑のむくみを引き起こしたりします。抗VEGF療法では、このような状態になるのを予防するために、VEGFのはたらきを抑制する薬を眼内に注射します。糖尿病黄斑浮腫では保険適応となっている治療です。

単純網膜症の治療法

血糖をコントロールしつつ、定期的な眼底検査を行います。血糖を適切な範囲にコントロールできれば、、網膜症の進行を抑制することもあります。

増殖前網膜症の治療法

血糖コントロールに加え、光凝固術を行います。

増殖網膜症の治療法

新生血管からの出血が起きていない段階であれば、光凝固術が有効です。硝子体出血や網膜剥離が起きている場合は、硝子体手術が行われます。ただし、手術が成功したとしても、日常生活に必要なレベルにまで視力が回復しないこともあります。

早期に治療することができれば、矯正視力を0.5以上に維持できる確率が高くなります。しかし、重症になってからでは、手術が成功した場合でも、矯正視力が0.1以下になってしまうことが多いため、適切な段階で治療を受けることが非常に重要です。

糖尿病網膜症の予防方法

糠尿病と診断された時点で、眼底検査で網膜症とする所見がみられなくても、i唐尿病網膜症を既に発症している可能性があります。しかし、適切に血糖コントロールを行えば、進行や失明を予防することができます。糖尿病の患者さんのうち、糖尿病網膜症で失明あるいは失朗の危機に瀕している人の割合は、全体の20%程度と推定されています。糖尿病網膜症による失明や回復不可能なほどの視力低下を防ぐには、適切な血糖コントロールに加え、定期的に眼科を受診し、眼底検査を受けることが必要です。

糖尿病網膜症は、長い時間をかけて進行していく合併症です。糖尿病網膜症による失明を防ぐには、日頃から血糖コントロールをしっかり行い、定期的に眼底検査を受けましょう。

●参考文献

1)患者調査、厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/10-20-kekka_gaiyou.html

2)Morizane, Y. et al. Jpn J Ophthalmol 63:26-33, 2019

3)Kawasaki, R. et al. Diabetologia 54:2288-2294, 2011

●参照サイト

公益社団法人 日本眼科医会(https://www.gankaikai.or.jp/

公益財団法人 日本眼科学会 (https://www.nichigan.or.jp/)

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