

3歳児健診の目的は?
検査内容や再検査の原因を項目別に解説
3歳児健診とは、満3歳から満4歳になる前の子ども達を対象に 各市町村で実施される健康診断のことです。 3歳になると、個人差はあるものの、自分の年齢や名前を言えるようになり、 食事やトイレ、着替えなども自分で行えるようになるほか、 運動機能(走る、絵を描くなど)も発達してきます。 そのため、3歳児健診では、1歳半健診の時には明確にみられなかった、 心や体の発達の遅れ、視力や聴力の異常などを見つけられる可能性があります。
3歳児健診の目的
3歳児健診の目的は、視覚や聴覚、運動能力、さらに心の発達状況を確認して、子供の障害や病気を早期に発見し、障害の進行を未然に防止するための対応を始められるようにすることです。また、保護者に対して育児に関する指導(発育、栄養、生活習慣、虫歯の予防など)を行うことで、子供の健康維持・増進を図ることも目的としています1)。
3歳児健診の検査内容
3歳児健診では、さまざまな角度から子供の健康状態を確認するため、以下のような検査を行います。
身体測定
身長、体重、胸囲、頭囲を測定します。また、身長と体重から肥満度を算出します。これらの値を成長曲線と比較して、発育状況を確認します。
視力検査
一次検査:事前に家庭で簡単な視力検査を行い、目に関するアンケートにその結果を記入します。 二次検査:事前に視力検査ができなかったときや、0.5以上の視力が確認できなかったとき、あるいはアンケートで「目に関して気になることがある」と回答したときには、健診会場でもう一度眼科検査が行われます。
聴覚検査
事前に絵シートを用いた「ささやき声検査」を家庭で実施し、耳に関するアンケートにその結果を記入します。アンケートとささやき声検査(医師の診察時にも実施する場合あり)の結果から精密検査が必要か判断します。
歯科健診
歯並びや咬み合わせ、虫歯の有無や、歯の磨き方に問題がないかなど、口の中の健康状態を確認します。
医師による診察・問診
医師が視診、触診、聴診を行い、健康状態に問題がないか確かめます。また、問診を行って運動機能や認知機能、言葉の発達についても確認します。問診の際には、医師が子供の反応を観察できるよう、質問に対して保護者が代わりに答えるようなことはせず、子供自身が答えるように促してください。
前回の健診からの変化など
保護者の方への質問
医師から保護者に向けて、1歳半健診以降に見られた変化や、子供の健康(病気の有無など)、さらに普段の生活の様子について質問がある場合もあります。
成長の目安(チェックポイント)2)
3歳児健診では以下のような点を確認しますが、必ずしもすべての満3歳児に当てはまるわけではなく、個人差があることをご理解ください。


その他(心理相談、育児相談、栄養相談)
医師による問診とは別に、保健師との面談が設定されている場合もあります。希望者にしか面談を実施しない自治体もあるため、相談したいことがあれば事前に問い合わせてください。 また、子供の健康や発育の面で気になることがあれば、医師による診察の際に聞いておきましょう。どんな些細なことでも、まずは質問してみることが大切です。
3歳児健診で必要な持ち物
3歳児健診には、基本的に以下のものが必要となります。実際には、居住する自治体から送られてくる健診の通知にしたがって、当日必要な持ち物を準備してください。

3歳児健診で
再検査となる原因とは…
身長など成長の問題
低身長、高身長、痩せ、肥満など、成長曲線を大きく下回る、あるいは上回る場合には、経過観察や栄養指導が行われたり、医療機関を紹介されたりすることがあります。
言葉の遅れ
大小や長短、色を理解できない、2語文が出てこない、発音がはっきりしない、といった「言葉の遅れ」がある場合、経過観察となる場合があります。また、難聴が疑われるなどの場合は、医療機関を紹介されることがあります。
コミュニケーションの問題
簡単な会話が成立しない、視線を合わせようとしない、一人遊びが多い、といったコミュニケーションの問題が疑われる場合、追跡観察が行われたり、医療機関や療育機関を紹介されたりすることがあります。
難聴
聴覚に関するアンケートやささやき声検査の結果から、難聴の可能性が指摘された場合は、耳鼻咽喉科での精密検査が必要となることがあります。
斜視や弱視
健診会場で受けた二次検査において斜視や弱視の可能性が指摘された場合は、眼科での精密検査が必要となることがあります。
ヒトの視覚は限られた時期にしか発達しません。発達のピークは生後3カ月~18カ月とされており、8歳頃には発達が終わってしまいます。そのため、斜視や弱視がある場合には、視覚の発達時期を逃さずに治療介入することが重要です。
子供の視力は、3歳頃までに大人と同程度に発達します。また3歳を過ぎると、言葉でコミュニケーションをとれるようになるため、視力検査ができるようになります。斜視や弱視の検査を3歳児健診で行うのはこのためです。
3歳児健診で斜視や弱視の
可能性があるといわれた場合
視覚が発達時期にある乳幼児では、ものを絶えず見る(目からの情報が脳へ伝わる)ことが非常に重要です。斜視や屈折異常、先天性白内障などの疾患があると、目からの情報が脳へと伝達されず、視力が正常に発達しないため、弱視になってしまいます。しかし、弱視の要因を早期に発見し、早い段階で治療を開始できれば、視力の発達が期待できます。治療せずに放置すると、眼鏡やコンタクトレンズで矯正しても視力が悪い状態(視力1.0未満)が生涯にわたって続くことになります。そのため、お子さんに弱視の可能性があるといわれたら、直ちに眼科を受診して弱視の原因となっている目の異常や病気を発見し、治療を行うようにしてください。

3歳児健診では、1歳半健診の時にはわからなかった色々な問題(斜視、弱視、難聴など)を発見できる可能性があります。特に目の異常に関しては、早期に治療を開始することが重要であるため、子供の将来のためにも3歳児健診を必ず受けさせるべきです。また、3歳児健診を受けるタイミングでなくても、気になる症状がみられた場合には、病院を受診するなど早めに対応しましょう。
●参照サイト
日本弱視斜視学会
日本小児眼科学会
一般社団法人 日本耳鼻咽喉科学会
公益社団法人 日本小児歯科学会
●参考文献
1) 母子保健法と発達障害者支援法(https://www.mhlw.go.jp/bunya/kodomo/boshi-hoken15/dl/03.pdf)
2) 改訂版乳幼児健康診査 身体診察マニュアル、平成30年度~令和2年度厚生労働科学研究補助金(成育疾患克服等次世代育成総合研究事業)
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