アキュビュー® 【公式】 目目(マメ)知識 目玉模様の不思議

 

眼状紋(がんじょうもん)とは小動物や昆虫の体にある「目玉模様」のことです。この偽りの目玉は、彼らが敵から身を守るための擬態であると考えられています。しかしその働き方には、種による違いがみられるようです。

 

 

目玉模様のビックリ箱

スズメガの仲間は、後羽に大きな「目玉模様」を持っています。しかし、普段はこの目玉模様を表に出しません。羽の下にひっそりと隠しています。そして、鳥などの敵が目の前に迫ってきた瞬間、前羽の下から目玉模様をニュッと突き出して威嚇します。目の前に突然大きな目玉模様が飛び出してきた敵は、おもわず驚いて飛び去ります。

スズメガは、目玉模様を「ビックリ箱」のように使うテクニックを持っているのです。

 

 

目玉模様の影武者

一方、ジャノメチョウなどの羽に見られる目玉模様は、スズメガとは、違った働きをします。ジャノメチョウの目玉模様は、体から遠い羽の端についていて、決して大きくありません。強い動物の目玉を模したと考えるには、いささか小さすぎるのです。

1926年、こんな実験が行われました。羽の端に「小さな目玉模様」を描いたチョウと、目玉模様ではなく「線」を描いたチョウを同数ずつ空に放ち、その後の生存数を比較する実験です。結果は、目玉模様を描かれたチョウの勝ちでした。線を書かれたチョウよりも目玉模様のチョウが数多く生き残ったのです。そして面白いことに、生き残ったチョウの多くが、羽の目玉部分に傷を負っていました。この実験からこんな仮説が成り立つはずです。小さな目玉模様は、敵の注意を、頭ではない別の部分に向けさせて、致命傷を受けるリスクを回避したのだと。

小さな目玉模様を持つジャノメチョウは、自分の身代わりをする「影武者」を使った戦国武将のように、敵を欺いていたのです。