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Q

目の疲れとは、実際にはどの部分が疲れている状態を言うの?

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A

目の疲れは、休息して回復できる単純な「眼疲労」と、休息しても簡単に回復しない病的な「眼精疲労」に分けられます。
眼精疲労は外環境要因(パソコンなどのデジタル画面での作業[VDT作業*]、冷暖房などによる刺激)、目そのものの要因(屈折異常や目の動きの異常)、内環境・心的要因(人間関係や仕事へのプレッシャーなど、さまざまなストレス)の3者のバランスの崩れが影響するとされます※1。 

平成20年の厚生労働省の調査でも、VDT作業をしている約7割が身体的な疲労を感じており、そのうち約9割の人が症状として「目の疲れ・痛み」を、約7割が「首、肩こり・痛み」、約2割が「頭痛」を感じていると報告しています※2
VDT作業によって目の症状だけでなく、全身の症状が引き起こされている様子がうかがえます。  

さらに近年、スマートフォン(スマホ)やタブレット端末などのデジタルデバイスが急速に普及したことで、眼精疲労の増加が心配されています。
一般に、近くでモノを見るときには、毛様体筋を収縮させることで水晶体を厚くして目の奥にピントが合うよう「調節」しています(『おしえて!瞳のギモン』第7回目を参照)。
通常の読書では目と書物との距離は約40㎝で、ページをめくるたびに書物から視線がはずれるため、そのたびに、調節は解除されています。
しかし、スマホでは目と画面の距離が20~30cmと短くなる上、画面をじっと見つづけることで調節に大きな負担がかかります。また一般に、近くでモノを見るときには角膜(黒目)を内に寄せなければならず(輻輳(ふくそう)反応)、目を動かす筋肉の作業量も増えます。
スマホのように画面との距離が近いと、強い輻輳反応が必要となり、目を動かす筋肉の疲労が生じやすいのです。 

さらにVDT作業では、まばたきの回数が減少し、まぶたが完全に閉じ切らない“不完全なまばたき”も増加してドライアイが起こりやすくなるといわれています※3)。
ドライアイでは角膜に傷ができたり、涙の安定性が低下したりして、安定した光が目の奥に入りにくくなるため(『おしえて!瞳のギモン』第12回目を参照)、調節力を駆使してその見えづらさを克服しようと、なお一層、目の調節系に負担がかかります。

※1 鈴村昭弘:主訴からする眼精疲労の診断.眼科MOOK, No 23, 眼精疲労:1-9, 金原出版, 1985

※2 VDT作業における身体的な疲労や症状をもつ労働者の割合. 出典:厚生労働省「平成20年技術革新と労働に関する実態調査」

※3 Portello JK, Rosenfield M, Chu CA:Blink rate, incomplete blinks and computer vision syndrome. Optom Vis Sci.;90(5):482-487. 2013

*VDT:Visual Display Terminal

ジョンソン・エンド・ジョンソン株式会社 ビジョンケア カンパニーが、 ひがしはら内科眼科クリニック・副院長 東原尚代先生監修のもと、編集しています。