どうしてコンタクトレンズをつけたまま寝てはいけないの?
それは、角膜(黒目)が酸素不足になるからです。角膜とは、目の表面にある透明な臓器で、目の奥に光を届ける役割を果たしています。また角膜の最表層の細胞どうしがしっかりと手と手をつなぐことでバリアとなり、外部から目に細菌などが感染するのを防いでいます。角膜の細胞が透明性を維持し、その機能を保つためには、酸素が必要です。
しかし角膜には、他の臓器のように酸素を運ぶ血管がないため、起きて目を開けているときは、主に大気中から涙に溶け込んだ酸素を取り入れています。またわずかですが、結膜(白目)の血管や房水(目の中を満たしている水)からも酸素が供給されます。でも睡眠中は目を閉じているので、大気中からは酸素を得ることはできません。そこで角膜は、主に上まぶたの裏の血管から涙に溶け込んだわずかな酸素を取り入れます。その酸素量は、起きているときの1/3程度。睡眠中はそれほど、角膜に届く酸素が少なくなっているということです。
最近のコンタクトレンズは酸素透過性の高い(酸素がたくさん通る)素材が多いものの、コンタクトレンズを装用したまま寝たらどうなるでしょう?上まぶたや白目からの酸素の流れをコンタクトレンズが妨げ、角膜は酸素不足になってしまいます。
角膜が酸素不足になると、角膜の最表層のバリア機能が低下し、感染症を引き起こしやすくなります。1日装用したコンタクトレンズには汚れや細菌などが付着していることがあるため、さらに感染症のリスクが高くなるといえるでしょう。また酸素不足の状態を補おうと、結膜から角膜まで血管が伸びてくる「角膜血管新生」という充血の原因にも。酸素不足の状態が続くと、角膜の裏側にある、角膜を透明に保つために重要な細胞が修復不可能なダメージを受け、角膜が腫れてにごってしまうといった深刻なトラブルにもつながります。
たとえ酸素透過性の高いコンタクトレンズであっても、寝るときには必ずコンタクトレンズを目からはずしましょう※1
※1 連続装用コンタクトレンズを除く。
ジョンソン・エンド・ジョンソン株式会社 ビジョンケア カンパニーが、ひがしはら内科眼科クリニック・副院長 東原尚代先生監修のもと、編集しています。