眼精疲労とは?
頭痛などの全身症状
との関係は?
市販薬を服用したりマッサージを受けたりしても、頭痛や肩こりがよくならない……。その症状は、もしかしたら眼精疲労かもしれません。この記事では、眼精疲労とは何か、また、眼精疲労と頭痛の関係について解説します。
眼精疲労とは?
「眼精疲労」とは、十分な睡眠をとっても「目の疲れ」が改善されない、目の病気の一つです。
目を使う作業を続けることによって、目のかすみや充血などの目の症状があらわれ、睡眠などの休養をとっても十分に回復しない場合、それは眼精疲労かもしれません。
近年では、スマートフォンやパソコンが普及して便利になった反面、長時間ディスプレイを見続ける人が増えており、それにより眼精疲労を訴える人が増えているともいわれています。
また、度数が合わないコンタクトレンズやメガネを使ったり、乱視や遠視があるのに矯正しなかったりすると、目が疲れやすくなってしまい、眼精疲労を訴える人もいます。
眼精疲労と頭痛などの全身症状との関係について
眼精疲労は、「眼」という字を含むことから、目にあらわれる症状を指すと思われがちかもしれませんが、 眼精疲労は外環境要因(パソコンなどのデジタル画面での作業[VDT作業*]、冷暖房などによる刺激)、目そのものの要因(屈折異常や目の動きの異常)、 内環境・心的要因(人間関係や仕事へのプレッシャーなど、さまざまなストレス)の3者のバランスの崩れが影響すると言われており※1、 場合によっては目の症状以外にも、頭痛、肩や首のこり、吐き気などの全身症状としてあらわれることがあります。
*VDT:Visual Display Terminal
※1 鈴村昭弘:主訴からする眼精疲労の診断.眼科MOOK, No 23, 眼精疲労:1-9, 金原出版, 1985
平成20年の厚生労働省の調査でも、VDT作業をしている人のうち、約7割が身体的な疲労を感じており、そのうち約9割が症状として「目の疲れ・痛み」を、 約7割が「首、肩こり・痛み」、約2割が「頭痛」を感じていると報告しており※2、目の症状だけでなく、全身の症状が引き起こされている様子がうかがえます。
※2 VDT作業における身体的な疲労や症状をもつ労働者の割合. 出典:厚生労働省「平成20年技術革新と労働に関する実態調査」
私たちがモノを見るときは、カメラのレンズにあたる「水晶体」という部分の厚さを変化させてピントを合わせています。
このピント調節に関わるのが「毛様体筋」と呼ばれる筋肉です。
一般に、近くでモノを見るときには、毛様体筋を収縮させることで水晶体を厚くして目の奥にピントが合うよう「調節」しています。
通常の読書では目と書物との距離は約40㎝といわれていますが、スマートフォンは目と画面の距離が20~30cmといわれており、 読書に比べ短くなる上、画面をじっと見つづけることで常に調節をすることになり、大きな負担がかかります。
また一般に、近くでモノを見るときには角膜(黒目)を内に寄せなければならず(輻輳(ふくそう)反応)、目を動かす筋肉の作業量も増えます。
スマートフォンのように画面との距離が近いと、強い輻輳反応が必要となり、目を動かす筋肉の疲労が生じやすいのです。
ピントを調節する毛様体筋は自律神経によって支配されているため、目を使い過ぎて毛様体筋が疲れてしまうと、自律神経のバランスが崩れて、全身に症状が現れると考えられています※3。
※3 眼精疲労とは. 眼精疲労ケア・アイクリーク. https://www.eyecleaque.com/%E7%9C%BC%E7%B2%BE%E7%96%B2%E5%8A%B4%E3%81%A8..., (参照 2020-08-12)
眼精疲労を感じたら
眼精疲労の裏には、ドライアイや初期の緑内障、不適切な矯正や、初期の老眼、眼位の異常といった、さまざまな疾患・事象が隠れている場合があります。
眼精疲労だと感じた方は、放置をせずに眼科を受診しましょう。
まとめ
眼精疲労は、目の症状だけにとどまらず、頭痛や肩こり、吐き気など、全身の症状につながる慢性的疲労です。
その裏にはさまざまな疾患が隠れている場合があるため、放置をせずに眼科を受診しましょう。
また、普段から目を酷使しないように注意したり、自分の目の健康状態にあったコンタクトレンズを使用することも大切です。